記事のサマリー(TL;DR)
- Ruby 4.0に実験導入された「Ruby Box」が初日キーノートで披露。RubyKaigi 2023発の着想が起点
- PicoRuby.WASM製Webフレームワーク「Funicular」がブラウザ上での
binding.irb動作を実演 - SmartHRは「Hangout Sponsor」として32名参加・たまり場「五稜郭」とイカ釣りゲームIKATSURUBYを提供
Ruby技術動向が日本のSaaS開発現場に与える影響
RubyKaigi は毎年、実用化前の言語機能や実行環境の最前線が発表される場です。今回注目された「Ruby Box」はまだ実験的機能ですが、Ruby 4.0 系として取り込まれれば、SmartHR のような Rails ベースの大規模 SaaS においてもサンドボックス設計・マルチテナント分離の選択肢が広がります。また、PicoRuby.WASM の進化は「Ruby のみでフロント〜バックを記述する」構成の現実性を高めており、フロントエンド技術選定の見直しを迫る可能性があります。日本国内でも Rails を基盤とするプロダクトは多く、これらの動向は 1〜2 年後の技術スタック議論に直結します。
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印象に残ったセッション
The Journey of Box Building — @tagomoris
初日のキーノートとして登壇した @tagomoris 氏の「The Journey of Box Building」では、Ruby 4.0 に実験的に導入された機能「Ruby Box(Ruby Box)」の基本機能・実装の詳細・開発エピソードが紹介されました。
発表者が語った開発の出発点は、RubyKaigi 2023 Day 2 のセッション「Multiverse Ruby」です。そのセッションから着想を得て Ruby Box の開発が始まったという経緯は、Ruby コミュニティにおいてカンファレンスが技術の種を生み出す好例といえます。
筆者(@itojum)は、自分にとっての「Multiverse Ruby」に相当するような刺激的な発見と出会える可能性をこのセッションから感じ取り、RubyKaigi 2026 の幕開けとして最良の内容だったと述べています。
Funicular: A Browser App Framework Powered by PicoRuby.WASM — @hasumikin
@hasumikin 氏のセッション「Funicular: A Browser App Framework Powered by PicoRuby.WASM」では、PicoRuby.WASM 上で動作する Web アプリケーションフレームワーク「Funicular(フニクラ)」が紹介されました。
PicoRuby.WASM の基本情報から丁寧に説明が行われたため、初心者にも内容を追いやすい構成でした。特に注目を集めたのは、ブラウザ上で binding.irb が動作するデモです。PicoRuby.WASM によるフロントエンド開発でのデバッグ体験が大幅に改善される可能性を示すもので、筆者も実際に試してみたいと意欲を示しています。
初めてのブース運営:たまり場「五稜郭」と IKATSuruby
SmartHR は RubyKaigi 2026 に「Hangout Sponsor」として協賛し、32 名が参加。会場内にはたまり場スペース「五稜郭(ごりょうかく)」を設置しました。
このスペースで提供されたのが、Ruby で実装されたイカ釣りゲーム「IKATSURURBY(イカツルビー)」です。多数の来場者を集め、大盛況となりました。
筆者にとっては企業側としてカンファレンスに参加する初めての経験でした。4月1日入社直後の参加だったため企画段階には携われませんでしたが、次回は企画から関わりたいと振り返っています。
函館市電 LT への登壇
RubyKaigi 2026 の Day 4 に、SmartHR が主催した「Lightning Talks on Hakodate Tram at RubyKaigi 2026(函館市電 LT)」に LT 登壇枠で参加しました。
各登壇者が RubyKaigi 2026 から受けた影響を自分なりの形で発表する場となっており、筆者はセッションで興味を持った技術を試したいという意欲が高まったと述べています。
筆者自身の LT テーマは、VR Chat 向け Ruby コミュニティ「VRChat.rb」のオーガナイザーを始めたという報告でした。コミュニティの性格にちなんで、VR 機器の Meta Quest 3 で資料を表示しながら発表するという演出も話題を呼びました。