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2026.07.24

SRE NEXT 2026 参加レポート:マネーフォワードがドリンクスポンサー・登壇・運営の三役で貢献、2027年 Co-Chair も輩出

記事のサマリー(TL;DR)

  • マネーフォワードは SRE NEXT 2026 にドリンクスポンサー・登壇・運営の3役で参加し、6種類のカルチャー紐づきドリンクを提供
  • パネルディスカッション「グローバルSREの最前線」と LT「xREという考え方」の2枠で登壇、会場の好評を獲得
  • SRE NEXT 2027 の Co-Chair 2名のうち1名に、マネーフォワードの尾上寛弥(@hiroyanoe)氏が就任することが発表

SRE 系カンファレンスへの企業参加戦略が多様化——ブース落選後もドリンクスポンサーで存在感

SRE NEXT はエンジニアコミュニティ主導のカンファレンスであり、スポンサー枠は抽選制で必ずしも希望通りに確保できるわけではありません。マネーフォワードは 2026 年のブーススポンサー一次抽選に落選しながらも、二次抽選でドリンクスポンサー枠を獲得。ブース出展という「場所で語る」型ではなく、飲料提供という「体験で語る」型に軸足を移し、同社のカルチャーフレームワーク(MVVC)に対応した6種類のドリンクを選定して配布する形で、会場内での想起率を高める工夫をしています。

こうしたスポンサー戦略の多様化は、エンジニア採用・ブランディングに力を入れる国内 SaaS 企業全般にとって参考になる事例です。特に、参加枠を取れなかった場合でも二次的な関与機会を探るアプローチは、限られたマーケティング予算で存在感を出したい企業にとってヒントになります。

SRE プラクティスの浸透という点では、kintone や Salesforce といった業務 SaaS を複数プロダクトで横断運用する組織でも、SRE 的な信頼性設計(SLO 策定・Production Readiness Checklist 導入など)の需要は高まっています。今回のカンファレンスで紹介された「AI 駆動開発のガードレールとしての SRE プラクティス」は、こうした多プロダクト横断運用の現場にも直接応用できる視点です。


詳細

イベント概要

  • 開催日時: 2026年7月10日(金)〜7月11日(土)
  • 会場: TOC有明(国際展示場駅 徒歩3分)+ オンライン配信
  • テーマ: Inclusive SRE

SRE NEXT は、信頼性(Reliability)に関するプラクティスに深い関心を持つエンジニアのためのコミュニティベース型カンファレンスです。2026 年は「Inclusive SRE」をテーマに掲げ、SRE というロールに限らず、Site Reliability Engineering に関わるすべてのエンジニアが学びを得られる場を目指しました。

マネーフォワードからはコアスタッフとして 2 名が運営に携わりました。


ドリンクスポンサーとして

昨年(2025年)はブーススポンサーとして参加していたマネーフォワードですが、2026 年は一次抽選に落選。二次抽選でドリンクスポンサー枠を獲得し、会場での存在感を維持しました。

ドリンクスポンサーは、ブース出展と異なり、ドリンクの選定限られた提供時間内での印象づけが勝負になります。今回は同社の Culture フレームワーク(MVVC)の 6 つの価値観に対応した 6 種類のドリンクを用意。2 日間を通じ最も人気を集めたのは「デカビタ(Speed)」と「ジンジャーエール(Evolution)」の 2 種類でした。

ブーススポンサー各社と同じエリアでドリンクを提供したことで、セッション中・休憩中を問わず常に人が行き交う空間を作り出し、SRE NEXT の熱量の高さを体感できたと担当者は振り返っています。


社員登壇

マネーフォワードからは、パネルディスカッションと LT(Lightning Talk)の 2 枠で登壇しました。

パネルディスカッション:グローバルSREの最前線

セッションタイトル「グローバルSREの最前線:3社が語る、国境を越えた『システム信頼性』と組織の動かし方」に、tatsuo48(横山達男)氏がパネリストとして参加。HENNGE、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)、マネーフォワードの 3 社が登壇し、グローバル組織でのサービス運用・組織づくりについて議論しました。

マネーフォワードでは社内の英語化推進や、複数プロダクトを横断するプラットフォーム運用が進んでいます。パネルを通じ明らかになったのは、「グローバル」の定義が各社で異なることと、それでも共通して「言語ではなくカルチャーの差異・意識の差異を理解することが最重要」というメッセージでした。3 名のパネリスト全員がこの点で一致したことは、会場に印象を残しました。

Lightning Talk:あなたの「Site」はどこですか? — xREという考え方

クラウド経費テックリードの みやむー(@miyamura.koyo)氏が登壇。SRE の「S(Site)」を「サービス全体・ITシステム全体」と広く捉え直す「xRE」という概念を提唱しました。

みやむー氏はキャリアを CRE(Customer Reliability Engineering)からスタートし、現在はテックリードとして活動しつつ SRE 系カンファレンスにも積極的に登壇しています。「CRE なのに、テックリードなのに、なぜ SRE を?」という問いへの答えが「Site をどこに置くかの違い」であるという構成は、「Inclusive SRE」というテーマと見事に呼応し、会場から好評を得ました。


登壇者(みやむー氏)のふりかえり

みやむー氏は昨年の SRE NEXT 2025 に「SRE じゃない自分が参加していいのか」と内心思いながら初参加し、登壇内容が自身の課題意識と重なることを実感。今年は「自分も発表できるかも」とプロポーザルを提出し採択された経緯があります。

発表のコアメッセージは「SRE のロールでなくても、SRE はできる」。SRE 系カンファレンスに初めて参加する人や、ロールの境界に悩んでいるエンジニアへの背中を押す内容として設計されています。


参加者の声(社内メンバー 3 名)

yossy(クラウド経費・クラウド債務支払 SRE Team Leader)

今回の SRE NEXT は「SRE と関連チームとの組織的な協働」をテーマにしたセッションが多かったと感じました。SRE プラクティスを組織全体の文化・仕組みとして根づかせる方法論への関心が、業界全体で高まっていることが伝わりました。

最も印象に残ったセッション:株式会社 Hubble の三橋氏による「泥臭く始める一人目SREの生存戦略、戦略的属人化による運用肥大化からの脱却」。「やらないことの線引きではなく、何に対して旗を振るかを宣言した」という言葉が特に刺さったとのこと。他組織との合意形成において、否定形ではなく肯定形で自チームのミッションを宣言するアプローチはポジティブで実践しやすい手法だと評価しました。

ogawa(クラウド連結会計・Manageboard SRE Team Leader)

SRE 歴 1 年目で SRE NEXT 初参加。親会社グループへのジョイン経験もあり、少人数で多プロダクトをサポートする事例が参考になったとのことです。カンファレンスを通じ新たに得た概念として以下を挙げています。

  • Slow is the new down:現代においてレスポンス遅延はダウンと同義
  • Production Readiness Checklist:本番安定運用の可否を確認するチェックリスト
  • 平時モード vs 戦時モード:エンジニアの状況対応の切り替え論(『ソフトウェアエンジニアガイドブック』に詳述)
  • ジョン・コッターの変革の8段階プロセス:組織変革のフレームワーク

最も印象に残ったセッション:KDDI アジャイル開発センターの北浦氏による「SREの積み重ねがAI駆動開発のガードレールになった ― 7つの実践例」。「これからはオレたちSREが主人公なんだぜ」という冒頭の言葉が会場のトーンを決定づけました。SRE が積み上げてきたプラクティスが「ハーネス(安全網)」として機能し、AI 駆動開発を加速させるという逆転の発想が刺激的だったとのこと。具体的には以下の実践例が参考になったとしています。

  • /goal コマンドを活用した受け入れ試験の AI 自動化
  • k6 による非機能要件の SLO テスト
  • JIT-PAM の DateLessThan で IAM ポリシーを時限付き有効化
  • モブプロ中のリアルタイムレビューによる PR 廃止

miyamu(登壇者・クラウド経費テックリード)

2 日間を通じて「顧客視点の信頼性」が語られる場面が多く、元 CRE として顧客視点を重視してきた自身の方向性が間違っていなかったと確認できたと振り返っています。

最も印象に残ったセッション:デザイナー・木浦氏による「誰のためのReliability?」。デザイン業界の名著『誰のためのデザイン?』の思考をSREに転用し、Reliability の本質をペルソナ視点で問い直す内容でした。「SRE 系書籍にはペルソナという概念がほとんど登場しない」という指摘は新鮮で、顧客視点を SLO 設計に組み込む伸びしろの大きさを感じたとのこと。

miyamu 氏自身は「コストの高いユーザーインタビューを SRE 全員が行うのは非現実的」という課題意識から、AI を活用してペルソナエージェントを生成し、SLO 設計や意思決定に活用するという新たなアプローチを提案。セッション後の Ask the Speaker の場で登壇者の木浦氏と議論し、方向性として有望という感触を得られたといいます。


お知らせ:SRE NEXT 2027 に向けて

SRE NEXT 2026 の閉会式にて、2027 年は Co-Chair 2 名体制での開催が発表されました。そのうち 1 名に、マネーフォレード の 尾上寛弥(@hiroyanoe)氏が就任することが発表されています。

尾上氏は SRE NEXT 2026 でもコアスタッフとして Road to SRE NEXT の企画・運営に携わり、SRE Kaigi 2026 では「学生・新卒・ジュニアから目指すSRE」と題して登壇するなど、次世代エンジニアの育成にも貢献してきたメンバーです。京都拠点から SRE インターンを経験し、現在はプラットフォームの開発運用に携わっています。


まとめ

SRE NEXT 2026 はドリンクスポンサー・登壇・運営スタッフという三つの立場でマネーフォワードが関与した、同社として多角的な関与が実現したカンファレンスとなりました。「Inclusive SRE」というテーマのもと、ロールや経験年数を問わず信頼性について語り合える場として機能しており、来年の SRE NEXT 2027 に向けた同社の貢献にも期待が集まります。