記事のサマリー(TL;DR)
- Nvidiaの直近四半期売上高は816億ドル、前四半期比20%増で過去最高を更新
- 非上場スタートアップへの出資残高がわずか3か月で220億ドル→430億ドルに急拡大
- Jensen Huang CEO が Anthropic への大規模インフラ提供を明言、AI基盤整備を加速
生成AI インフラ調達・コスト戦略を検討する国内企業への示唆
Nvidia の今回の決算が示す最大のポイントは、GPUの販売主体という枠を超え、Nvidiaが自らAIスタートアップのメジャー株主として資本関係を結びながらエコシステムを支配しようとしている点です。OpenAIへの300億ドル出資コミットやAnthropicとのインフラ整備契約は、単なるハードウェア販売ではなく「AIインフラ+資本+モデル開発の垂直統合」を意味します。
国内でも Claude(Anthropic)や GPT(OpenAI)を業務システムに組み込む動きが加速していますが、これらのモデルを動かす計算基盤が実質的にNvidiaのBlackwellアーキテクチャに集約されつつあることは、API利用コストの中長期的な構造に影響します。自社でGPUを調達するオンプレ構成より、NvidiaがインフラごとAnthropicやOpenAIに提供するクラウド経由のAPIを使う構成の方が、コスト予測の面でより現実的な選択肢になるケースが増えるでしょう。
また、中国向け輸出規制の影響でH200は未だ収益貢献ゼロと言及されており、地政学リスクがNvidiaのサプライチェーンに与える影響は引き続き注視が必要です。
詳細
過去最高の四半期決算:データセンター収益が752億ドルに
Nvidiaは米国東部時間2025年5月21日(水)の市場終了後、4月26日締めの四半期(2026会計年度第1四半期)の決算を発表しました。
- 売上高:816億ドル(前四半期比 +20%)
- データセンター収益:752億ドル(過去最高)
- 自社株買い枠:800億ドルを新たに承認
CFOのColette Kress氏は「Blackwellアーキテクチャはあらゆる主要ハイパースケーラー、クラウドプロバイダー、主要モデルメーカーに採用・展開されている」と述べました。
次四半期(2026年7月締め)の売上高ガイダンスは910億ドル(前四半期比 +12%)と、成長率は20%から12%へ鈍化する見通しです。ただしこれは絶対額での記録更新が続くことを意味しており、成長率の低下はスケールの大きさゆえの自然な傾向とも読めます。
中国輸出規制の影響:H200収益はいまだゼロ
中国向け輸出については、H200チップが米国の輸出許可を得ているものの「現時点では中国への輸入が認められるか不明であり、売上貢献はゼロ」とKress氏が明言しました。今期の業績への実質的な影響は限定的でしたが、今後の規制動向によっては数十億ドル規模の潜在需要がどちらに転ぶか変わり得る変数として残っています。
スタートアップ出資残高が3か月で倍増:430億ドルへ
今回の決算発表で最も注目されたのが、非上場企業(証券届出書では “non-marketable equity securities” として記載)への出資残高の急増です。
| 時点 | 残高 |
|---|---|
| 2025年1月末(前四半期末) | 約220億ドル |
| 2025年4月末(当四半期末) | 約430億ドル |
この増加分の主因は当四半期中に実施した185億ドルの新規購入で、前四半期の同種購入額6億4,900万ドルから約28倍に急拡大しています。
なお、この数字には以下が含まれていない点も重要です:
- Corning や IRENCO(IREN)など上場企業への出資
- OpenAIへの300億ドル出資コミット(2025年2月公表)のうち、まだクローズしていない将来分
OpenAI出資の具体的な契約構造は非開示ですが、ベンチャー型ではなくコーポレートVC的な戦略投資として位置づけられています。
Jensen Huang CEO が Anthropic との大型インフラ計画を言及
決算説明会でCEOのJensen Huang氏は、Anthropicとの関係について踏み込んだ発言をしました。
「今年と来年にAnthropicのためにオンラインに持ってくる処理能力は相当な規模になる。これまでAnthropicへのカバレッジはほぼゼロだったが、それが変わる」
これはNvidiaが単にGPUを売るのではなく、特定のAIラボに対してデータセンター容量ごとコミットする形で関係を深めていることを示しています。Anthropicは Claude シリーズを展開するAI企業であり、エンタープライズ向けAIエージェントの分野で急成長しています。
Blackwell アーキテクチャの普及加速
Kress CFO の発言にある通り、Nvidia の最新GPU アーキテクチャ「Blackwell」はすでにすべての主要クラウドプロバイダーとハイパースケーラーに展開されています。これにより、AWS・Azure・Google Cloud・Oracle Cloud 等でBlackwell世代のGPUを使ったワークロードが順次利用可能になっており、国内クラウド利用企業にとってもLLM推論コストの変動要因となります。