記事のサマリー(TL;DR)
- Google I/O 発表後の5月20〜25日、DuckDuckGo 米国アプリインストールが前週比平均18.1%増・最大30.5%増を記録
- iOS 単体では前週比平均33%増・ピーク69.9%増と、Android を上回る勢いで拡大
- AIなし検索ページ(noai.duckduckgo.com)の訪問数も平均22.7%増で推移し、ピークは27.7%増
国内の検索行動・SaaS 利用企業が注目すべき「AI 強制搭載」への反発動向
Google が検索の核心を「青いリンクの一覧」から「AIエージェントによる自動回答」へ転換する方針を示した直後、プライバシー重視の代替検索エンジンである DuckDuckGo への流入が急増した。この現象は米国固有のトレンドと見なすことはできません。日本でも Google 検索への依存度は高く、AI オーバービュー(SGE)の段階的展開に伴って「検索結果の正確性」や「コンテンツ流入の減少」を懸念する声が EC 事業者・メディア運営者の間で高まっています。特に SEO を重要な集客チャネルとしている Shopify Plus 事業者やコンテンツ型 SaaS にとっては、Google の AI 生成サマリーによるゼロクリック化がトラフィックに直結します。また、DuckDuckGo が Duck.ai で採用している「IPアドレスの除去」「30日以内の会話削除」「学習利用禁止」というプライバシー設計は、日本の個人情報保護法対応や社内情報管理の観点から業務 AI ツールを選定する際の参照軸にもなりえます。
詳細
Google I/O で加速した「青いリンク」の消滅
Google は年次開発者会議 Google I/O において、従来の検索結果リストをAIエージェントに置き換えると発表しました。このエージェントはクエリへの回答、タスクの実行、バックグラウンドでのモニタリングエージェントの起動まで担います。ユーザーからは「AI オーバービューが不正確な情報を表示する」「AIを使いたくないユーザーが排除される」「単純な検索が複雑化する」といった批判が相次ぎました。
DuckDuckGo への流入データ
DuckDuckGo が公開した数値によると、5月20日〜25日の米国アプリインストール数は前週(5月13〜18日)比で平均18.1%増となり、5月25日には30.5%のピークを記録しました。iOS では平均33%増・最大69.9%増と Android 全体の数値を大きく上回りました。同社は6日連続でこの成長が持続したと述べており、通常はトラフィックが落ちるメモリアルデーの週末も増加傾向が続いたとしています。
AIなし専用ページ(noai.duckduckgo.com)の週次訪問成長率は平均22.7%で、5月24日に27.7%のピークを記録しました。このページでは AI アシスト回答や AI 生成画像を含む全 AI 機能がデフォルトでオフになります。
CEO コメント:「オプトアウト不可のAI押し付け」
DuckDuckGo CEO の Gabriel Weinberg 氏は声明でこう述べています。「Google はオプトアウトの手段を持たないまま AI を強制搭載しており、その結果として検索結果の品質は向上ではなく低下している。私たちはユーザー自身が AI をどこまで使うか決められる場所でありたい」。同氏は 2023年の Google 反トラスト裁判にも証人として出廷し、Google の独占的なデフォルト検索契約が DuckDuckGo のブラウザ採用を妨げていると証言した経緯があります。
DuckDuckGo 自身の AI 製品「Duck.ai」
DuckDuckGo はアカウント不要・無料の AI チャット製品「Duck.ai」を提供しています。利用できるモデルは以下の通りです。
- Anthropic Claude 4.5 Haiku
- Meta Llama 4 Scout
- Mistral Small 3 24B
- OpenAI GPT-5 mini
プライバシー保護の仕組みとして、DuckDuckGo はリクエストがモデルプロバイダーに届く前にユーザーの IP アドレスを除去し、会話を30日以内に削除、AI トレーニングへの利用も禁止しています。Weinberg 氏は「検索履歴もチャット履歴も保持せず、AI 学習にも使用しない」と強調しました。
Search Assist と AI Image Filter
DuckDuckGo はオプション機能として Google の AI オーバービューに相当する「Search Assist」と、AI 生成画像を検索結果から除外する「AI Image Filter」も提供しています。最高コミュニケーション・政策責任者の Kamyl Bazbaz 氏によると、思想的に正反対の方向性を持つこの二つの機能はいずれも同社の中で最も利用されている機能に含まれるといいます。「人々が求めているのはただ、選ぶ権利です」と Bazbaz 氏は述べました。
米国の市場シェアと反トラスト文脈
DuckDuckGo の米国検索市場シェアは現状約2%にとどまっており、Google の圧倒的な支配を崩すには至っていません。しかし今回のインストール急増は、プラットフォーム側の設計判断に対してユーザーが具体的なアクションで応じることを示す事例として注目されます。