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2026.05.28

Snowflake が AWS と60億ドル契約——Graviton CPU チップで AI エージェント需要に対応

記事のサマリー(TL;DR)

  • Snowflake が AWS と5年間・総額60億ドルの契約を締結。同社の AWS Marketplace 累計売上(2012年創業来の約70億ドル)に匹敵する規模
  • 契約の核心は AWS 独自 ARM 系 CPU「Graviton」への優先アクセス。AI エージェント普及に伴う CPU 需要急増に対応
  • 2025年の Snowflake 顧客による AWS 支出は前年比2倍の20億ドルへ拡大。Cortex AI が牽引

国内 Snowflake・AWS 利用企業が押さえるべき Graviton シフトの論点

Snowflake を分析基盤として採用している国内企業にとって、今回の契約はコスト構造と AI 機能の両面に影響する可能性があります。AWS の Graviton は Nvidia GPU と比べて価格性能比で優位とされており、Amazon が「コスト削減分を顧客に還元する」と明言している点は、クラウド費用を精査するコスト最適化フェーズの企業には注目材料です。また、Snowflake の Cortex AI はすでに日本語テキストでのデータクエリ(自然言語での SQL レス問い合わせ)や要約レポート生成に対応しており、BigQuery などと並ぶ分析基盤の選定軸として CPU コストの低減が加わることになります。AI エージェントを業務フローに組み込む際、GPU が不要な推論・オーケストレーション処理の大半を Graviton が担う構成は、国内企業がクラウド費用を抑えながらエージェント活用を進める上で現実的な選択肢です。

詳細

Snowflake と AWS が5年間・60億ドルの新契約を締結

クラウドデータストレージ大手の Snowflake は、Amazon Web Services(AWS)と新たな5年間・60億ドル(約9,000億円)の契約を締結したと、両社が2025年5月27日(水)に発表しました。

比較として AWS が挙げた数字が契約の規模感を端的に示しています。Snowflake が2012年の創業から現在まで AWS Marketplace 経由で売り上げた累計額は約70億ドル。今回の新契約はその総額にほぼ匹敵します。

背景にあるのは顧客支出の急加速です。Snowflake によると、同社顧客による AWS への支出は2025年だけで約20億ドルに達し、前年比で2倍に膨らんでいます。

AI ツール「Cortex AI」が成長を牽引

この成長を引っ張っているのが、Snowflake が数年前から提供している AI 構築ツール「Cortex AI」です。Snowflake は企業データの多くが集積する場所であり、Cortex AI はその強みを活かす設計になっています。具体的な機能としては、自然言語によるデータベースクエリ(SQL を書かずに日本語・英語で問い合わせ可能)、サマリーレポートの自動生成などが挙げられます。

注目ポイント:Graviton CPU へのアクセス拡大

今回の契約で特筆すべきは、Snowflake が AWS 独自の ARM ベース CPU「Graviton」へのアクセスを大幅に拡大した点です。

AI の利用形態は「モデルのトレーニング」から「日常的な推論」、そして「エージェントによる自動化」へと移行しつつあります。GPU がトレーニングや高度な推論を担う一方、CPU はエージェント処理を含む AI タスクの大部分を処理します。エージェント普及に伴い、CPU 需要は急上昇しています。

Amazon の Andy Jassy CEO は先月、自社製 AI チップは Nvidia 製品より「価格性能比が優れている」と語りました(AWS は現在も Nvidia チップを併用)。Amazon は節約できたコストを顧客に還元するとしており、こうした経済的優位性が数十億ドル規模の契約を呼び込む構図になっています。

Meta・Microsoft・Google も巻き込む競争構図

先月 AWS は、Meta の増大する AI 計算需要に対応するため、数百万個の Graviton チップを供給する契約を締結しました。Meta は数カ月前に Google Cloud と100億ドルの契約を結んでいたため、AWS にとって大きな獲得案件となりました。

独自チップの動きはクラウド大手全体に広がっています。Google は数年前から独自 AI チップを開発しており、Microsoft は2025年1月に独自 AI チップ「Maia」を発表しました。

こうした競合の動きに対し、Nvidia の Jensen Huang CEO は先週、自社の立場を守り拡大する準備が十分にできていると発言。同社が新たに投入した AI 特化 CPU「Vera」は「全く新しい2,000億ドル市場」を形成するとし、すでに200億ドル分を売り上げたと述べました(先週発表した過去最高の四半期決算を受けての発言)。

クラウド各社が AI 需要の恩恵を享受

Nvidia が市場シェアを容易に手放す見込みはありませんが、AWS の数十億ドル規模の契約群は、AI がクラウド事業を力強く押し上げていることを示しています。AI が仕事や生活に浸透するにつれ、恩恵を受ける主体が誰であれ、クラウドプロバイダーは着実にその取り分を確保しています。