記事のサマリー(TL;DR)
- Asana が StackAI を 7,500万ドルで買収。StackAI の調達総額は約 2,000万ドル(最終ラウンドは1,600万ドルの Series A)
- StackAI は Salesforce・Slack・Google Workspace など既存業務システムと連携するノーコードAIエージェントビルダー。Y Combinator Winter ’23 出身
- Asana は 既存の AI Studio・AI Teammates と StackAI を統合し、「複雑な業務プロセスをエンドツーエンドでエージェント化」する方針
国内 Salesforce・kintone・Asana 利用企業が注目すべき買収の意味
Asana はすでに日本市場でも業務管理ツールとして一定の導入実績を持ちます。今回の StackAI 買収で注目すべきポイントは、エージェントが「既存業務システムのデータを引き込む」設計思想です。StackAI が対応する Salesforce・Slack・Google Workspace は、国内の中〜大規模企業でも標準的に使われているツール群であり、Asana 上でこれらを横断するAIエージェントをコードなしで構築できるようになる点は実用的な意味を持ちます。
一方で、kintone や独自の社内システムを主軸とする企業にとっては、StackAI が対応する SaaS 群に自社ツールが含まれるかどうかが課題になります。Asana 側が「既存ワークフローへの深い統合こそ強み」と主張する以上、今後のコネクター拡充の動向が導入判断の分かれ目になるでしょう。また、Asana 自体が ChatGPT 登場以降に時価総額を半分以上失う株価低迷を経験しており、買収による製品強化が業績回復につながるかは引き続き注目点です。
詳細
Asana が StackAI を7,500万ドルで買収、AI ネイティブ職場プラットフォームへの転換を加速
Asana は、ワークフロー自動化企業 StackAI を 7,500万ドルで買収したと発表しました。この買収は、Asana が自社プラットフォームを「人間とAIエージェントの共同チームのオペレーティングシステム(OS)」として位置づけるより大きな戦略転換の一環です。
発表は Asana の決算発表・投資家向け説明会に合わせて木曜日午後に行われました。StackAI の共同創業者である Tony Rosinol と Bernard Aceituno は、買収に伴い Asana に参加します。
StackAI とはどんなサービスか
StackAI は AIワークフロー自動化システムとして設計されており、既存の業務システム内で動作するAIエージェントを構築します。Salesforce・Slack・Google Workspace(Gsuite) などのシステムからデータを取り込む仕組みが特徴です。
Y Combinator の Winter ’23 コホート出身の同社は、Zapier のような自動化ツールや OpenAI・Anthropic といった大手AIラボとの激しい競争に直面してきました。PitchBook のデータによると、StackAI の調達総額は 2,000万ドル弱で、そのほとんどは直近の 1,600万ドルの Series A ラウンドによるものです。同ラウンドには Gradient、Epakon Capital、Lobby VC、LifeX Ventures、そして Vercel CEO の Guillermo Rauch が参加しています。
Asana の AI 戦略における位置づけ
ユーザーには業務管理ツールとしておなじみの Asana ですが、近年は AI 関連製品を積極的にリリースしています。特に注目されているのが、エージェントビルダーの AI Studio と、あらかじめ構築された自動化シリーズ AI Teammates です。
大手AIラボからも同等ツールが提供されていますが、Asana は既存の企業ワークフローへの深い統合を強みとしています。これにより、他では得られないコンテキストとトレーニングデータを蓄積できると説明しています。
株価低迷からの反転を狙う新経営体制
Asana はAI時代に入って以降、株式市場で苦戦が続いており、ChatGPT 登場以降に時価総額の半分以上を失いました。この下落は、昨年3月に創業者の Dustin Moskovitz が CEO を退任したことでさらに悪化しています。
それでも売上は堅調な成長を続けており、新しい経営陣は人間とエージェントが協働するプロダクト群による業績回復に自信を示しています。
CEO の Dan Rogers は声明の中でこう述べています。「この買収はロードマップを加速させ、人間とエージェントの協働という次のフェーズへと私たちを連れていく。AI Teammates と AI Studio ではすでに実質的な勢いを感じている。StackAI によって、最も複雑なビジネスプロセスをエンドツーエンドでエージェント化できるようになる。」