記事のサマリー(TL;DR)
- Threads が2026年6月16日に「Your Algo」を公開。非公開でトピック嗜好を1・3・7日単位で指定できる
- Instagram の「Your Algorithm」は2025年12月のリール限定から、フィード・探索・リール全体に拡張
- TikTokは2025年にAI搭載「Smart Keyword Filters」を追加し、類義語まで自動除外する仕組みを整備
国内SNS運用・コンテンツマーケティング担当者が押さえるべきアルゴリズム変化
SNSアルゴリズムがユーザー側に委ねられる流れは、日本国内のブランド運用にも直接影響します。これまでエンゲージメントや閲覧時間を最大化する方向に最適化されていた運用ロジックは、ユーザーが「見たくないトピック」を明示的に排除できる時代に対応する必要があります。
特に注目すべき点は3つです。第一に、Threadsの「Your Algo」が採用した「非公開リクエスト」方式です。ユーザーは公開ポストなしに好みを伝えられるため、ブランドアカウントがリーチできるユーザー層は以前より細分化・流動化します。第二に、InstagramのAdam Mosseri氏が言及した通り、LLM(大規模言語モデル)がレコメンドエンジンの”説明可能性”を高める方向に機能しており、コンテンツが表示される理由が可視化されつつあります。これはコンテンツ戦略の透明性と説明責任を高める一方、従来の「バズらせる」アプローチの効果が変わる可能性があります。第三に、TikTokのSmart Keyword Filtersは「renovation(リノベーション)」「renovations」のように類義語まで自動でフィルタリングするため、特定カテゴリの商品やサービスを訴求するコンテンツが意図せず除外されるリスクを把握しておく必要があります。ECや小売業が自社商品を露出させる際には、カテゴリ設計とキーワード選定を見直す契機となります。
詳細
ソーシャルメディアのアルゴリズム制御が「ユーザーの手」へ
長年にわたり、ソーシャルメディア大手はユーザーのフィードに表示するコンテンツを一元管理してきました。フォロー・いいね・非表示といった操作は存在していましたが、実際に何を見せるかはレコメンドアルゴリズムが握っていました。
この状況が変わりつつあります。Threads・Instagram・TikTokをはじめとするプラットフォームが、ユーザー自身がアルゴリズムを”訓練”し、フィードに表示される内容を能動的に調整できるツールを相次いで導入しています。
フィードの設計思想は「誰にでも同じコンテンツを届けるテレビチャンネル」から、「個人の好みに合わせて推薦を調整できるストリーミングサービス」へと移行しています。ユーザーにとっては自分の興味に沿ったフィードが手に入り、プラットフォームにとっては消費されやすいコンテンツを届けることでエンゲージメントを高める手段となります。
Threads:「Your Algo」で非公開の嗜好指定が可能に
2026年6月16日、Threadsは新機能「Your Algo(ユア・アルゴ)」をリリースしました。2026年2月に公開された「Dear Algo(ディア・アルゴ)」ツールを発展させたものです。
「Dear Algo」では、「Dear Algo、ポッドキャストに関する投稿をもっと見せて」のように公開ポストを投稿することで、フィードに表示してほしいコンテンツの種類をアルゴリズムに伝える仕組みでした。
新機能「Your Algo」では、この嗜好指定を公開投稿なしに非公開で行えます。特定トピックを「もっと見たい」「あまり見たくない」と設定し、その有効期間を1日・3日・7日から選択できます。たとえば「野球のコンテンツを増やし、ストレスになるニュースを減らす」といった指定が可能です。
Instagram:「Your Algorithm」がフィード全体に拡張
2025年12月にリール向けとして先行公開されたInstagramの「Your Algorithm(ユア・アルゴリズム)」は、2026年6月初旬にフィード・探索・リールの全面に展開されました。
設定画面からツールにアクセスすると、Instagramがユーザーの興味として認識しているトピック一覧を確認できます。各トピックについて「もっと見たい」「あまり見たくない」を設定すると、レコメンドがリアルタイムで変化します。
Instagram責任者のAdam Mosseri(アダム・モッセーリ)氏は、従来のソーシャルメディアのランキングモデルはユーザーに不透明な技術で構築されていたと認めたうえで、「LLMを活用することで、なぜそのコンテンツが表示されるのかを示し、ユーザーが明示的に好みを伝えられるようにすることで、レコメンドシステムをより分かりやすくできる」と述べています。
TikTok:「Manage Topics」+AI搭載のSmart Keyword Filters
TikTokは2024年に「Manage Topics(マネージ・トピックス)」を導入しました。「For You(フォーユー)」フィードに表示されるコンテンツを、スポーツ・旅行・ユーモア・時事・ダンス・フードなどのカテゴリ別にスライダーで調整できます。各カテゴリの「情報」ボタンをタップすると、そのカテゴリに含まれるコンテンツの定義を確認できます(例:「Creative arts(クリエイティブアーツ)」は「絵画・デッサン・グラフィックデザイン・アート関連チュートリアル」を含む)。
2025年には、AI搭載の「Smart Keyword Filters(スマート・キーワード・フィルター)」が追加されました。特定キーワードを除外設定すると、その類義語も自動的にフィルタリングされます。例として、「remodeling(リモデリング)」を除外すると「renovation」「renovations」も自動的に除外されます。ユーザーが意図的に遮断したいコンテンツをより精度高く除去できる一方、マーケターにとっては想定外の露出減が起きるリスクをはらみます。