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2026.07.11

Apple が OpenAI を提訴——元Apple幹部による営業秘密窃取を主張

記事のサマリー(TL;DR)

  • AppleがOpenAIを米国カリフォルニア北部地区連邦地裁に提訴、Tang Tanら元Apple社員による組織的な機密情報窃取を主張
  • OpenAI側は採用面接でApple製ハードウェア部品の持参や未発表製品情報の提供を候補者に求めていたとされる
  • Appleは2月にOpenAIへ懸念を書面で通知したが、返答なし。自社ハードウェア製品の開発に盗用技術が使われた疑いも指摘

AppleとOpenAIの法廷対立が示す、ハードウェアAIの競争激化と国内企業への影響

今回の訴訟は、OpenAIが本格的なハードウェア参入を進める中で表面化した。2025年に元Appleデザイン責任者のJony Iveが設立したスタートアップ「io」がOpenAIに65億ドルで買収されており、OpenAIのハードウェア戦略は加速していた。業界アナリストのMing-Chi Kuoは2025年4月、OpenAIが開発中とされるデバイスについて、アプリではなくAIエージェントに依存するスマートフォンになる可能性を示唆していた。

日本市場では、iPhoneは依然としてスマートフォン市場で高いシェアを持ち、Apple製品との連携を前提にしたBtoBやBtoCのサービス設計が多く存在する。OpenAIがAIエージェント中心のハードウェアを投入した場合、エンドユーザーのデバイス環境が変化し、Shopifyストアのモバイルチェックアウト体験やSaaS連携アプリの設計前提にも中長期的な影響が及ぶ可能性がある。また、AIモデルを生成AI活用基盤として採用している企業にとっては、OpenAIの法的リスクとブランド信頼性の変化を注視する必要がある。

詳細

提訴の概要

Appleは2026年7月(現地時間金曜日)、OpenAIに対して営業秘密の窃取と契約違反を理由とした訴訟を米国カリフォルニア北部地区連邦地裁に提起した。Appleは、この不正行為がOpenAIの上級幹部、特にチーフハードウェアオフィサー(Chief Hardware Officer)のTang Tanによって主導されたと主張している。

Tanは以前のキャリアとしてAppleに24年間勤務し、直近ではiPhoneおよびApple Watchのプロダクトデザイン担当バイスプレジデントを務めていた。訴状はTanに対し、以下の行為を具体的に列挙している。

  • OpenAIの採用プロセスでAppleの機密プロジェクトコードネームを使用
  • 採用候補者に面接へApple製ハードウェアコンポーネントを持参するよう依頼
  • Apple離職社員に対して同社のセキュリティ手順を回避する方法を指南
  • 未発表製品に関する詳細情報の提供を求める

別の元社員・Chang Liuへの告発

訴状では、Tang Tanのほかにも元Apple社員のChang Liuが言及されている。Liuは8年間Appleでシニアシステムズ電気エンジニアとして勤務した後、2026年にOpenAIへ転職した。Appleによれば、Liu はApple支給のノートパソコンを返却せずに退職し、そのコンピューターを使ってAppleの機密技術文書をダウンロードしたとされる。

Appleが主張する盗用文書には、未発表技術・機能・製品に関する情報(技術仕様書、エンジニアリングプレゼンテーション、独自プロジェクトデータ)が含まれるという。Liuはさらに、OpenAIへの転職を検討していた他のApple社員に機密情報を共有し、少なくとも1名に面接前の準備内容を指南したとも主張されている。

OpenAIの採用手法と機密情報活用の疑い

訴状によれば、Apple従業員に対してデザインやプロトタイプを面接に持参するよう求めたり、部品選定やベンダー選定プロセスに関する質問に答えるよう促したりする行為が、OpenAIの組織的な戦略の一環だったとAppleは主張している。

さらに、OpenAIが自社ハードウェア製品を開発する過程でAppleの機密情報を実際に活用した証拠もあるとAppleは述べる。訴状では具体的な事例として、OpenAIがパートナー企業に対してAppleの許可を得ているかのように誤解させた上で、Appleの独自金属仕上げ技術(proprietary metal finishing technique)を使用したケースが挙げられている。

事前通告と法的救済の要求

AppleはOpenAIに対し、2026年2月の時点で懸念を書面で通知していたが、OpenAI側から返答はなかったと訴状に記載されている。法廷手続きに移行したことで、Appleは法的ディスカバリー(証拠開示手続き)を通じて、社内で何が起きていたかについてより広範な情報を得る機会を得る形になる。

Appleが裁判所に求める救済措置は次の3点だ。

  1. OpenAIによるApple営業秘密の使用・開示の禁止
  2. OpenAIが保有するApple機密資料の返却
  3. 本件に関連する証拠の保全

AppleとOpenAIのそれぞれの声明

Appleは公式声明で「多大な証拠が、OpenAIに雇用された個人たちが未公開技術・プロセス・製品に関するAppleの機密情報を不正に取得したことを示唆している」と述べ、知的財産の保護に断固として対処すると表明した。

訴状の中でAppleは「これは氷山の一角に過ぎない。OpenAIの内部で何が起きているかについて、Appleは十分な情報を持っていない。そこではこうした不正行為が常態化し、経営幹部によって体現されている」とも主張している。「OpenAIの新興ハードウェアビジネスは今や最も不安定な土台の上に立っており、違法に流用された営業秘密への依存によってその根幹が腐食している」と記されている。

OpenAIはコメントを求められているが、本記事公開時点で公式な回答は確認されていない。