記事のサマリー(TL;DR)
- Google が社内 AI チップ「Frozen v2」を開発中。2028年リリース予定、電力効率は既存比 6〜10倍
- OpenAI の「Jalapeño」、Anthropic の Samsung との提携交渉など、自社チップ化は業界全体の潮流に
- Alphabet は 2025年に 1,800〜1,900億ドルの AI 投資計画を公表済み。チップ内製化で ROI の証明が急務
国内 AI 基盤・クラウド利用企業が注目すべき自社チップ戦略の動向
Google が Gemini の推論コストを最大 10 分の 1 まで圧縮する専用チップの開発に着手したことは、Gemini API や Google Cloud の料金体系に中長期的な影響を与える可能性があります。日本市場では Vertex AI 経由で Gemini を利用する企業が増えており、モデルの電力効率向上はそのまま API 単価の引き下げ余地につながります。
また、Nvidia 依存からの脱却という業界動向は、GPU 調達コストや納期リスクを直接抱えるクラウドベンダーの競争力に直結します。日本国内でも Gemini を使った検索・業務自動化・データ分析基盤の構築を検討している企業にとっては、2028年以降のインフラコスト試算を今から見直す余地があります。BigQuery × Gemini の統合活用など、Google Cloud を軸にしたデータ分析基盤を構築している場合は、チップ世代交代によるコスト変動を中長期計画に織り込んでおくことが現実的です。
詳細
Google が社内チップ「Frozen v2」の開発を進める
Alphabet(Google の親会社)は、自社の Gemini モデルをより効率的に動作させるための新しいサーバーチップを設計しています。The Information の報道によると、このチップは社内で「Frozen v2」と呼ばれており、2028年のリリースが予定されています(情報源は匿名)。
同報道では、このチップが電力あたりのトークン生成数で測定した場合、Google の既存 AI チップと比べて 6〜10倍の効率を達成する可能性があると伝えています。
TechCrunch の問い合わせに対し、Google は報道を直接は認めも否定もしませんでした。同社は次のようにコメントしています。
「私たちのチームは、ユーザーとお客様に最大限のパフォーマンスと効率を提供するため、常に新しいイノベーションの研究と実験を行っています。すべてのプロジェクトが製品化に進むわけではありませんが、この厳格な探求は私たちのフルスタックアプローチの中核です。ハードウェアとソフトウェアをゼロから共同設計することで、実際のワークロードに向けて高度に統合・最適化されたシステムを実現しています。」
AI 業界全体で加速する自社チップ開発の潮流
AI 企業が自社チップの開発に注力するのは、社内モデルをより効率よく動作させ、AI 演算能力のグローバルな不足に対処するためです。AI 投資への懸念がこれまでの市場の熱狂を冷ます中、こうした効率性はテック企業の重要な差別化要素になっています。
同時に、各社は AI チップ市場を歴史的に支配してきた Nvidia への依存を脱却しようとしています。Nvidia の独占的地位は、主要 AI 事業者をそのハードウェアに強く依存させてきました。
直近の動向として:
- 2025年6月: OpenAI が初の自社カスタムチップとして、推論プロセッサ「Jalapeño(ハラペーニョ)」を発表
- 2025年7月: Anthropic が Samsung との新たなチップ製造パートナーシップを協議中と報道
1,800億ドル規模の投資計画と投資家への説明責任
投資家たちは以前から、Alphabet の AI 戦略構築のために計画された大規模支出を懸念していました。Alphabet は 2025年初め、**1,800〜1,900億ドル(約27〜28.5兆円)**の支出計画を公表しています。これほどの資金が賭かっている以上、投資が実を結ぶことを証明する必要があります。
より高効率な Frozen v2 チップに関する今回の報道は投資家の懸念を和らげたようで、週内に予定されている決算発表を前に、月曜朝に Alphabet の株価が約 3% 上昇しました。