事業紹介 事業紹介トップ 経営データ分析基盤 Claude / MCP 導入 育つ業務アプリ 複雑な SaaS を専用 UI に Shopify Plus 移行・拡張 生成AI 活用(Multi AI) SEO / AIO / 広告運用 顧問・アドバイザリ インフラ構築 自社メディア投資・開発
Claude Claude / MCP 総合 Claude Cowork Claude Code 導入支援 Claude Code 使いこなし支援 Claude Design MCP 開発・サーバー構築
Shopify Plus Shopify Plus トップ EC-CUBE からの移行 大手カートからの移行 Shopify 通常プラン EC サイト構築
実績
業界ニュース 業界ニュース トップ AI ニュース └ Claude └ ChatGPT・Codex └ Gemini └ その他 Shopify ニュース SaaS ニュース お知らせ(自社発信)
会社情報 お問い合わせ
2026.07.21

MCP(Model Context Protocol)がステートレス化アップデート——大規模運用の障壁を解消へ

記事のサマリー(TL;DR)

  • MCPがセッションIDの管理方式を「ステートフル」から「ステートレス」に変更、ロードバランサー環境での大規模運用が容易に
  • AIエージェント基盤スタートアップのArcadeが2025年6月に6,000万ドルを調達、このインフラ課題の解決を事業の中心に据えている
  • 新仕様は2025年5月に公開済み、翌週(2025年7月末)に正式リリース予定

国内 kintone・Salesforce・Slack 連携を進める企業が知っておくべき MCP 運用の変化

MCPは現在、ClaudeをはじめとするAIクライアントと外部ツール(Gmail、Slack、Salesforce など)をつなぐ事実上の標準プロトコルです。今回のアップデートはエンドユーザーには見えない変更ですが、企業でMCPサーバーを本番運用する側には無視できないインパクトがあります。

現行仕様では、MCPサーバーがセッションIDを発行・保持する設計のため、複数サーバーにトラフィックを分散させるロードバランサー構成で「どのサーバーがどのセッションを知っているか」という同期問題が生じます。これが、AIエージェント活用の機運が高まる一方で、大規模・本番グレードのMCP統合事例が少なかった主因のひとつです。

国内でも Salesforce や kintone、Slack を業務基盤として利用する企業が多く、これらをAIエージェントに接続する需要は高まっています。ステートレス化によってMCPサーバーをAWSやGCPの標準的なスケーラブル構成(ALB + コンテナ)に乗せやすくなるため、クラウドネイティブなインフラ上でのエージェント統合の設計がシンプルになります。

詳細

MCPとは何か——AIインターオペラビリティの「配管」

MCP(Model Context Protocol)は、AIモデルが外部のデータソースやサービスへアクセスするための標準プロトコルです。カレンダー、データベース、社内ツールなどへの接続を、エンジニアが接続ごとに独自の実装を書かなくて済むよう標準化した「配管」に相当します。

新バージョンの公式仕様は2025年5月に公開されており、来週(2025年7月末週)に正式なアップデートとして展開される予定です。

Arcade が解説したセッションID問題の核心

今回の変更内容を詳しく説明したのが、AIエージェントの企業内実装に特化した2年目のスタートアップ Arcade です。ArcadeはGmail・Slack・Salesforceなどのツールへの安全な接続と操作を支援しており、2025年6月に6,000万ドル(約90億円)の資金調達を完了しています。同社の調達根拠は「AIエージェントが失敗するのは基盤モデルが弱いからではなく、周辺インフラが整っていないから」というテーゼです。

Arcade共同創業者の Nate Barbettini 氏は現行の問題をこう説明しています。

現在の仕組みでは、ClaudeのようなMCPクライアントがサーバーに初回接続すると「こんにちは、私はClaudeです、バージョンはこれ、機能はこれです」と送信します。サーバーは自身の機能を返し、セッションIDを渡します。それ以降、クライアントはすべてのリクエストにそのIDを添付し、サーバーは「これは同じ会話だ」と判別します。IDが期限切れになると、クライアントは気づいて新しいIDを要求し、会話を続けます。

ロードバランサーと「戦う」現行設計

この設計が問題になるのは、実際の本番環境においてです。数百万ユーザーを抱えるサービスでは、ロードバランサーが各リクエストをサーバーファームの空きマシンに振り分けます。場合によっては別リージョンのサーバーに割り当てられることもあります。

このとき、すべてのサーバーが「他のサーバーが発行したセッションID」を把握していなければなりません。不可能ではないものの、実装コストが高く、ロードバランサーと「協調」するどころか「対立」する設計になっています。

現在のMCPサーバーは、複数台のサーバーが相互に通信しないデフォルト状態で誰が誰かを追跡するための余分な処理を強いられており、これが大規模運用の大きな頭痛の種でした。アジェンティックAIへの期待が高まる一方で、企業が大規模・ファーストパーティのMCP統合を出荷できていない一因でもあります。

新仕様:ウェブと同じ「ステートレス」アプローチへ

新しい仕様ではサーバー側のセッションID管理を「ステートレス」な方式に変更します。これは一般的なウェブサービスがすでに採用している手法と同様です。結果として、システム全体のメンテナンスが容易になり、理論上は大規模運用コストも低減します。

AI開発は「全速力」ではない部分も残る

この変更が示すのは、AI開発のすべてが猛スピードで進んでいるわけではないという事実です。モデルのトレーニング競争は激化していますが、そのモデルが必要とする技術インフラの多くは、標準化団体によるコンセンサス形成という、ゆっくりとしたプロセスに依存しています。変化は確かに起きている——ただし少しゆっくり、というわけです。