記事のサマリー(TL;DR)
- Pew Researchが約50万件の英語Webページを分析し、ChatGPT公開後のページの**35%**にAI執筆・大幅編集の兆候を確認
- .comドメインのAI執筆率は**.eduや.govの約10倍**(後者は約1%)。.orgは4.6%
- Cloudflareが「ボットトラフィックが人間を超えた」と報告した直後の発表で、「ボットがボット生成コンテンツを読む」状況が定量化された
国内コンテンツ制作・SEO事業者が直視すべきWebのAI化進行
Pew Researchの今回の調査は英語圏のWebページを対象にしているが、日本市場への含意は小さくない。国内でもChatGPT以降、メディア・ECサイト・企業ブログを中心にAI生成コンテンツが急増しており、同じ傾向が進行していると見るのが自然だ。
SEOの観点では、Googleが「有用性の高いコンテンツ」を評価基準に据えている以上、AI生成の薄いコンテンツが検索順位を押し下げるリスクが高まる。Pew が指摘する「em dash(ダッシュ記号)の多用」「it’s not X, it’s Y という表現パターン」はAI検出ツールのシグナルになっているが、日本語コンテンツでも類似のパターン検出が進む可能性がある。
ECサイト・SaaS事業者がAIを使ってページ量産する場合、量より質・ファクトの一次情報性・独自データの付加が差別化になる局面に入りつつある。GA4と検索データを統合してコンテンツ別のCVR・エンゲージメントを計測し、AIページと人間執筆ページのパフォーマンス差を把握する体制が実務上の判断基準になる。
詳細
Webページの35%がAI執筆の兆候——ChatGPT公開後の調査結果
Pew Researchが2026年8月20日(木)に公開した調査レポートによれば、ChatGPT公開後に投稿されたWebページの35%超がAIによって書かれたか、「大幅にAI編集された(substantially edited)」兆候を示している。
この調査は、Webのコンテンツが誰によって書かれているかを定量化した点で注目に値する。インターネットインフラプロバイダーのCloudflareが「ボットによるWebトラフィックが人間のトラフィックを上回った」と報告した直後のタイミングと重なり、「ボットがボット生成コンテンツを読む」という状況が複数の独立したデータソースで裏付けられた形だ。
調査方法:Common CrawlとOpen Pangram技術
Pew Researchは、WebアーカイブCommon Crawlを使って過去5年ほどの英語Webページ約50万件を収集した。開始時点はChatGPTの2022年11月リリースより数年前に遡っている。
その後、Open Pangramの技術を使ってAI執筆・AI大幅編集の可能性があるページを検出した。
2026年7月に収集した1万ページのランダムサンプルでは、「AIによる執筆の顕著な兆候」が見られたのは約10%にとどまった。ただしPewは、ランダムサンプルにはAI執筆ツールが存在しなかった時代のページも多数含まれることを指摘。そこでChatGPT公開以降のページに絞り込んだところ、AIによる執筆兆候の割合は35%超に上昇した。
ドメイン別の内訳:.comが突出
ドメイン種別で見ると、AI執筆率に大きな差が出ている。
| ドメイン | AI執筆率(目安) |
|---|---|
| .com | 約10%(.edu/.govの約10倍) |
| .org | 4.6% |
| .edu | 約1% |
| .gov | 約1% |
商業目的の.comドメインでAI執筆率が突出して高く、教育・政府系ドメインでは低い。コンテンツ量産の経済的インセンティブとAI利用率の相関を示す結果と言える。
分析の限界とAI執筆の「告知サイン」
Pew自身も認めているように、今回の分析は完全ではない。PangramをはじめとするAI検出ツールは、実際には人間が書いたページを誤ってAI執筆と判定するケースがある。ただし大規模データを扱う場合、方向感としての正確さは保たれると考えられる。
Pewはまた、AI執筆の「告知サイン」が年々増加していることも確認している。具体的には以下のような表現・記号の使用頻度が上昇している。
- em dash(—) の多用
- Oxford comma(オックスフォードコンマ) の使用
- 「it’s not X, it’s Y(〜ではなく〜だ)」 型のフレーズ
これらはAI言語モデルが好んで使うパターンとして広く認識されており、検出ツール側が参照するシグナルにもなっている。
Cloudflareの報告との相関
今回の調査が公開されたのは、CloudflareがWebにおけるボットトラフィックが人間トラフィックを上回ったと報告した直後だ。Cloudflare自身が当初想定していたよりも早いペースで到達したマイルストーンとされている。Pew調査はブラウジング行動ではなくコンテンツに焦点を当てており、2つのデータを合わせると「ボットがボット生成コンテンツを閲覧している」という構図が浮かび上がる。