記事のサマリー(TL;DR)
- Gemini Omni 1.1 Flash が2026年8月27日にリリース。シーン拡張・4Kアップスケール・キーフレーム指定など動画制作の精度を強化
- 360p プレビューモードは 720p 比で最大60%高速・コスト1/3。プロトタイピングの反復サイクルを大幅に短縮
- Gemini API・Google AI Studio・Enterprise Agent Platform API を通じて即日利用開始。Google AI Plus/Pro/Ultra サブスクライバーも対象
生成AI動画を業務ワークフローに組み込む国内クリエイティブ・SaaS事業者への影響
Gemini Omni 1.1 Flash は単なる品質改善にとどまらず、API 経由で動画生成を業務フローに組み込める「プロダクション対応」モデルとして設計されている点が重要です。日本の広告制作・メディア・EC 事業者がとくに注目すべきは3点です。
第一に、コスト構造の変化です。360p プレビューを先行生成してからリソースの重い 4K 出力を行う「2ステップ制作フロー」を API で実装すれば、レンダリングコストを抑えながら品質を担保できます。社内承認フローが多段階になりがちな日本企業では、軽量プレビューを関係者確認用に回す運用が現実的です。
第二に、ECコンテンツ制作との親和性です。商品ビジュアルを初期フレームに設定してカメラワークを自動生成するキーフレーム補間機能は、Shopify Plus のストア向け動画バナー制作や futureshop・ecforce 系カートの商品動画量産に応用できます。
第三に、Enterprise Agent Platform API の位置づけです。Google が提供する Agent Platform API 経由で Omni 1.1 を呼び出せることは、社内の承認・入稿・CMS 連携を自動化するエージェント設計の選択肢が広がることを意味します。kintone や Salesforce をバックエンドに持つ業務システムから動画生成をトリガーする構成も技術的には成立します。
詳細
Gemini Omni 1.1 Flash とは
2026年8月27日、Google DeepMind は Gemini Omni 1.1 Flash を発表しました。前世代の Gemini Omni が「リアルワールド推論×生成クリエイション」を掲げていたのに対し、Omni 1.1 は開発者・エンタープライズ向けの「プロダクション対応」に焦点を当てた更新です。Gemini API および Google AI Studio を通じて即日利用できます。
シーン拡張(Scene Extension): 最大40秒の連続生成
既存の動画を起点に、続きの映像を継続生成できる機能です。Omni 1.1 では 最大10秒の前コンテキストを参照できるようになりました(旧モデルは最終1秒のみ参照)。これにより映像の視覚的一貫性と物語の継続性が向上しています。
- 1回の拡張単位: 10秒
- 累計最大長: 40秒
API 呼び出しは previous_interaction_id を指定するだけで、前の生成結果から連続して続きを生成できます。
from google import genai
client = genai.Client()
interaction = client.interactions.create(
model="gemini-omni-1.1-flash",
previous_interaction_id=previous_video_interaction.id,
input=[
{"type": "text", "text": "Continue the scene."}
],
response_format={
"resolution": "360p",
},
)
キーフレーム指定(First & Last Frame Interpolation)
ショットの開始フレームと終了フレームを指定することで、その間の映像を自動生成します。複雑なカメラオービット・ズームトランジション・ループ動画の制作に適しています。プロンプト例としては「ドラマーのクローズアップからサックス奏者へのホイップパン」「TV 画面へのズームイン」など、カット割りなしの長回し演出が挙げられています。
360p 高速プレビューモード
720p の標準解像度と比較して、最大60%高速・コスト約1/3で動画を生成できる軽量プレビューモードです。ラピッドプロトタイピング・絵コンテ反復・開発プラットフォームでのクイックレンダリングを想定しています。60%高速化はシステムスループットの比較値(360p vs. 720p)に基づく数値です。
4K アップスケール
最終的な納品物として 1080p または 4K の高解像度出力を生成できます。魚の追跡ショット、シマリスのナチュラルシーン、日本のモミジのマクロ映像などのプロンプト例が公開されています。
マルチモーダル入力での動画参照
プロンプト作成時に 最大3秒の動画クリップを参照素材として入力できます。キャラクターの視覚的一貫性を保ちながら、参照動画のダンス動作を別キャラクターに転移させるといったユースケースが公式デモで示されています。
料金・提供チャネル
Omni 1.1 は以下のチャネルで利用できます。
| チャネル | 対象 |
|---|---|
| Google AI Studio | 開発者(即日利用可) |
| Gemini API | 開発者・ISV |
| Enterprise Agent Platform API | 法人向けエージェント開発 |
| Google Flow(Google AI Plus/Pro/Ultra) | サブスクライバー(グローバル) |
| Gemini アプリ(Scene Extension のみ) | Google AI Plus/Pro/Ultra サブスクライバー |
詳細な料金は Google AI Studio の公式料金表を参照してください。開発者向けドキュメント・クックブック・プロンプトガイドも同時に公開されています。