記事のサマリー(TL;DR)
- Anthropic が科学者向け Claude チームプランを発表、世界で1万席を最大1年間無料・月15ドルで提供
- AI for Science プログラムを生物科学以外の分野に拡大、プロジェクトあたり最大5万ドルのクレジットを申請可能
- 生命科学分野の Mythos クラスモデルへのアクセスは米政府と連携した専用プログラムで順次拡大中
国内の研究機関・バイオテック企業が注目すべき Claude アクセス条件
日本の大学・研究機関・非営利研究法人に所属する研究者も、今回の科学者向け Claude チームプランの対象になります。申請には「主任研究者(PI)またはそれに相当する立場」であることが必要で、認証後は自ラボのメンバーをプランに追加できます。スタンダード席は無料、プレミアム席(使用量5倍制限)は月15ドルという料金体系は、予算規模が限られる国内の公的研究機関にとって導入障壁が低い設計です。
また、AI for Science プログラムはこれまで主に生物科学分野を対象としていましたが、今回の拡大でタンパク質設計やリーマンゼータ関数研究のような計算集約型プロジェクトを含む幅広い分野が対象になりました。国内でも創薬・マテリアルズインフォマティクス・量子化学計算などを手がける研究者にとって、最大5万ドルのクレジットは実質的なコンピューティング費用の代替手段になり得ます。
一方、生物学・化学分野の研究者は現時点で Opus クラスモデルの利用に限定されており、Fable クラスモデルはデュアルユースリスクへの配慮から専門的な生物学・創薬クエリをブロックする設定が継続されます。Mythos クラスモデルへのアクセスは、米政府との連携プログラムへの参加が前提となっており、国内の生命科学企業・研究機関がこの枠組みに加わるには追加的な手続きが必要になる見通しです。
詳細
Claude Science と AI for Science プログラムの概要
Anthropic は2025年6月、研究者が最もよく使うツールを統合し、監査可能なアーティファクトを生成、柔軟なコンピューティングリソースへのアクセスを提供する製品「Claude Science」を発表しました。並行して、インパクトの高い科学プロジェクトを進める研究者に無料クレジットを提供する「AI for Science」プログラムも継続的に拡充してきました。
科学者向け Claude チームプランの詳細
今回発表された科学者向け Claude チームプランの主な内容は以下の通りです。
- 提供規模: 世界の科学者1万席(将来的にさらに拡大予定)
- スタンダード席: 無料(1年間)
- プレミアム席: 月15ドル(通常比5倍の使用量制限)
- 申請条件: 学術機関または非営利研究機関の主任研究者(PI)またはそれに相当する立場
- クレジット追加申請: 標準・プレミアムプランの使用量を超えた場合、AI for Science プログラムにプロジェクトあたり最大50,000ドル(約750万円)のクレジットを申請可能。申請資格は全研究者に開放
AI for Science プログラムの対象分野拡大
これまで AI for Science プログラムは主に生物科学分野の研究者を支援してきました。今回の拡大により、以下のような計算資源を大量に必要とする研究にもクレジットが提供されます。
- リーマンゼータ関数の研究など数学・理論科学分野
- Claude が取り組んだタンパク質設計のような構造生物学
- その他、計算集約型の野心的な研究プロジェクト全般
モデルアクセスの制限と生命科学向け専用プログラム
現時点で、生物学・化学の研究者が利用できるのは Opus クラスモデル に限定されます。Claude Fable クラスモデルは、デュアルユースリスクへの懸念から、専門的な生物学クエリや医薬品開発に関わる問い合わせを引き続きブロックします。
生命科学の研究開発に Mythos クラスモデルを活用したい研究者・企業向けには、Anthropic が米国政府と連携して専用のアクセスプログラムを整備中です。第1期参加者への展開はすでに開始しており、今後さらにアクセス枠を拡大する予定とされています。
関連動向
Anthropic は同時期に以下の取り組みも発表しています。
- Model Hardware Standard(MHS)のリサーチプレビュー: AI エージェントが物理デバイスを安全に操作するための共有仕様。科学研究ラボや先進製造業の一部に先行公開
- AIのウェルビーイングへの影響評価グラント: AIがユーザーのウェルビーイングに与える影響を調査する独立研究を支援する500万ドルのグラントプログラムを立ち上げ
- Claude テキスト透かし機能: 採用した透かし方式の仕組み、出力への影響有無、導入理由についての詳細を公開