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2026.09.03

TechCrunch Disrupt 2026 Builders Stage:スタートアップ成長戦略の全セッション詳説

記事のサマリー(TL;DR)

  • TechCrunch Disrupt 2026 のBuilders Stageが10月13〜15日、サンフランシスコのMoscone Centerで開催。参加者は1万人超の見込み
  • Google VP Robby Stein、Gusto CEO Josh Reeves、Reddit CPO Maria Angelidou-Smithなど各社リーダーが「AI時代のプロダクト・採用・GTM」を語る
  • 「$0〜$10M ARRが新たなアーリーステージ基準」「90日GTMプレイブック」など、即実践できるセッションが20本以上ラインナップ

日本のスタートアップ・VC関係者が注目すべき3つのテーマ

Builders Stageのアジェンダは、AI全盛期において「AIを売らない会社がどう勝つか」「OpenAIに機能を潰されたらどうするか」という問いに正面から向き合っている点で、日本のスタートアップ環境にも直接刺さる内容だ。

第一に、資金調達ハードルの高度化。Series Aセッションでは「2027年時点での”投資できる”基準が今と変わる」と明言されており、Index Ventures・Peak XV・Bessemer VPらが新指標を提示する。日本でも2024年以降のVCラウンドは精査が厳しくなっており、トラクションの定義が「ARR」「リテンション率」にシフトしている。

第二に、$0〜$10M ARRを90日で目指すGTM圧縮。LovableのCROやTheory VenturesのTomasz Tunguzが「かつて数年かかった成長が数か月で求められる」と解説する。国内では創業初期にSaaSのMRR成長が緩やかなケースが多く、AI活用による配信・セールスの短縮がこの水準を日本市場でも現実的なKPIにしつつある。

第三に、マルチモデル戦略(Tokenmaxxing)。Capital GのMo JomaaとPathwayのZuzanna Stamirowskaが「単一モデルに賭けるのでなく、複数モデルを使い分けるアーキテクチャが主流になる」と論じる。Gemini・GPT・Claudeの並行評価を行う国内AI開発チームにとって、モデル選定・コスト管理・信頼性確保の知見は直接応用できる。

詳細

Builders Stageとは

Builders StageはTechCrunch Disrupt 2026に設けられた6つの業界フォーカスステージの一つ。ファウンダー、スタートアップオペレーター、投資家を対象に、「シード調達から Series A への移行」「トップ人材の採用」「GTMエンジンの構築」など、成長フェーズに特有の課題を実践的な形で扱う。全セッションにはライブQ&Aが設けられ、登壇者と直接対話できる。チケット料金は次回値上げ前の現在、最大330ドル割引で購入可能。


セッション詳細

How to Win When You’re Not Building AI(AIを作らなくても勝つ方法)

登壇: Shan Shan(Baillie Gifford、Investment Manager)、Yuri Sagalov(General Catalyst、Managing Director)

VCの関心はAIに集中しているが、長期的に生き残る企業の多くはAIモデルやエージェントを販売する会社ではない。このセッションは「AI一色の市場で注目を競うファウンダー」向け。効率的な成長、リテンション、収益品質、規律ある実行——ハイプではなくファンダメンタルズがブレイクアウト企業を作るという視点を掘り下げる。


What Happens When OpenAI Ships Your Roadmap(OpenAIが自社ロードマップを出したら)

登壇: Michel Tricot(Airbyte、CEO兼共同創業者)、Rob Toews(Radical Ventures、Partner)、Linda Tong(Webflow、CEO)

AIファウンダーが共通して抱える懸念:「OpenAIやAnthropicが自社製品と競合するものをリリースしたら?」優れたプロダクトであっても大手の一機能に吸収されるリスクがある。このセッションでは防衛可能性(Defensibility)がどこに存在するか、AIジャイアントとの競合に直面したときにファウンダーが取れる選択肢を探る。


Building the Next Generation of AI Giants(次世代AIジャイアントの構築)

登壇: Jas Khaira(Blackstone N1、Global Head)

AI スタートアップのスケールスピードと必要資本は、過去のどの世代よりも大きい。Blackstone N1 のグローバルヘッドが、長続きする企業と初期の勢いだけで終わる企業の違い、スケールに伴う資本戦略の考え方、Blackstoneがカテゴリー定義企業に投資する際の評価軸を共有する。


Competing for AI Talent: Pay, Equity, and Retention(AIタレント争奪戦:給与・株式・リテンション)

登壇: Matt Birnbaum(Wylder.co、Founder)、Ioana Hreninciuc(Runware)、Atli Thorkelsson(Redpoint Ventures、VP Talent Network)

AIスタートアップの急成長はすべてのテック企業にとって採用・定着をより困難にした。セカンダリー市場の台頭とともに、ファウンダーはスタートアップの「人的インフラ」を再構築しつつある。インセンティブ設計・カルチャー・チームビルディング戦略の最前線を解説する。


Winning Pre-Seed Without a Product(プロダクトなしでプレシードを勝ち取る)

登壇: Puneet Agarwal(True Ventures、Managing Partner)、Austin Clements(Slauson and Co、Managing Partner)、Sandhya Venkatachalam(Axiom Partners、Founder兼Managing Partner)

プレシード段階では投資家はストーリー、確信、そしてファウンダー・マーケットフィットに賭ける。収益が存在しない段階でどう信頼性を構築し、最初の資金調達を実現するかを具体的に掘り下げる。


From MVP to Billions of Users: How Product Decisions Must Change at Scale(MVPから10億ユーザーへ:スケール時のプロダクト判断)

登壇: Robby Stein(Google、VP of Product)

MVPを勝ち取った直感が、10億人規模になると逆に機能しなくなる。GoogleというProduct組織で、スピードと信頼性・イノベーションと安定性をどうバランスするか——世界最大規模のプロダクト組織のリアルを語るファイヤーサイドセッション。


Hiring When AI Is a Co-Founder(AIが共同創業者の時代の採用)

登壇: Josh Reeves(Gusto、CEO兼共同創業者)、他登壇者順次発表

AIエージェントがエンジニアリング・サポート・オペレーションを担うようになり、「アーリーチームの定義」が書き換えられている。何を人間に任せ、何をAIに委任するか。スピード・説明責任・カルチャーを失わずにハイブリッドチームを構築する方法を探る。


Rebuilding Consumer Products for the AI Era(AI時代のコンシューマープロダクト再設計)

登壇: Maria Angelidou-Smith(Reddit、CPO)、SquareおよびUberのリーダー

AIは機能追加にとどまらず、検索・発見・コミュニケーション・意思決定の仕組みそのものを変えつつある。Reddit・Square・Uberが数百万人規模のプロダクトをどう再設計しているか、ユーザーがAIに本当に求めることは何か、「すべてを自動化したい衝動」にどこで抵抗すべきかを論じる。


M&A Is Now an Early-Stage Strategy(M&Aはアーリーステージ戦略になった)

登壇: Karl Alomar(M13、Managing Partner)、Lindsey Mignano(Mignano Law Group、Founder)

IPOだけを出口に見るのではなく、創業初日からM&Aの可能性を織り込んで設計するファウンダーが増えている。プロダクト戦略・パートナーシップを通じてM&Aオプションを生み出す方法と、大型スタートアップイグジットの実際のメカニズムを解説する。


The Series A in 2027(2027年のSeries A)

登壇: Jahanvi Sardana(Index Ventures、Partner)、Shailendra Singh(Peak XV、Managing Director)、Janelle Teng Wade(Bessemer Venture Partners、Partner)

Series Aは年々難しくなっており、VCの要求水準が上がっている。2027年に調達を計画するファウンダーに向け、「ファンダブル(投資できる)」の定義がどう変わるか、時代遅れのファンドレイズ手法がなぜ通用しなくなったかを、トップ投資家が直接解説する。


The 90-Day GTM:$0〜$10M ARRを90日で狙うプレイブック

登壇: Ryan Meadows(Lovable、CRO)、Tomasz Tunguz(Theory Ventures、GP兼Founder)、Ben Broca(Polsia、Founder)

かつて数年かかっていた「$0〜$10M ARR」が今やアーリーステージの新しい基準になりつつある。AI活用による実行速度向上・高速ディストリビューション・投資家期待値のシフトがGTMタイムラインを圧縮している。最初の90日で収益を加速させ差別化するための戦術的レバーを具体的に解説する。


The Real Tokenmaxxing: How the Best AI Companies Navigate a Multi-Model World(マルチモデル時代の勝ち方)

登壇: Mo Jomaa(Capital G、Partner)、Zuzanna Stamirowska(Pathway、CEO兼共同創業者)、他追って発表

最前線は単一モデルが追いつけないスピードで進化しており、成功しているAIプロダクトチームは複数モデルをオーケストレーションするアーキテクチャを採用している。新モデルの評価方法、コスト管理と大規模時の信頼性確保、技術進化に合わせてプロダクトを進化させ続けるアーキテクチャ設計を議論する。


Revealing AI Disruptors 60(AI Disruptors 60 発表)

登壇: Shay Grinfield(Greenfield Partners)

AIの議論は「モデルが何を言えるか」から「実際に何ができるか」へ移行している。AIエージェントがウェブを操作し業務を完了する時代、大規模インフラが整いつつある状況を踏まえ、Greenfield PartnersとTechCrunchが共同で選定する「2026年 AI Disruptors 60」が本セッションで発表される。


PMF Red Flags: How to Tell If You Really Have It(本物のPMFを見分ける方法)

登壇: Rajeev Dham(Sapphire Ventures、Managing Director)、Rahul Vohra(Superhuman Mail、Founder)、他追って発表

AIハイプサイクルの中でPMFシグナルは偽造しやすく、信頼しにくくなっている。初期の熱狂・利用スパイク・パイロット成功をリテンションと混同するファウンダーが増えている。偽PMFとは実際何か、投資家とオペレーターが真のリテンションとハイプ主導の採用をどう区別するかを掘り下げる。


The Zero-to-1K Playbook:マーケティング予算ゼロで最初の1,000顧客を獲得する

登壇: Grant Lee(Gamma、CEO兼共同創業者)、Leah Solivan(Precedent.vc、Founder兼GP)、Elia Wallen(Engine、Founder兼CEO)

初期の顧客獲得はマーケティング費用ではなく、ファウンダー主導のディストリビューションと徹底した実行にかかっている。コミュニティ構築・プロダクト主導成長(PLG)・ファウンダー主導営業・戦略的アウトバウンド・口コミ——ゼロから1,000人の顧客を獲得した実例を解説する。


Yes, It’s Hard to Be a Founder(ファウンダーであることの困難:正直な対話)

登壇: Nell Daly(Revenge Capital、共同創業者兼Managing Partner)、David H. Rosmarin(Harvard Medical School、准教授)、Jack Withinshaw(Airspeeder、共同創業者兼CCO)

会社構築は戦略的であると同時に心理的に過酷だ。バーンアウト・意思決定疲労・持続的プレッシャーによるアイデンティティの揺らぎ——高成長環境の隠れたコストと、リーダーが高いパフォーマンスを維持するためのシステム・習慣・メンタルフレームワークを率直に語る。


So You’ve Got a Hit Product. How Does Your Company Do It Again?(ヒット製品の次をどう作るか)

登壇: Filip Kaliszan(Verkada、CEO兼共同創業者)、Aaron Jacobson(New Enterprise Associates、Partner)、Maddi Holman(Daring Ventures、GP)

単一の優れたプロダクトにとどまるスタートアップは停滞する。資本配分・社内イノベーションの体系化・コアプロダクトの成長曲線が鈍化する前に「第二幕」を設計する反復的マルチプロダクトエンジンの構築法を、VCとファウンダーが公開する。


How to Create Viral Growth and Capitalize on It(バイラル成長を生み出し、活かす方法)

登壇: Zach Yadegari(Cal AI、Founder)

ゼロからバイラルに至るまでは一夜にして起きることがあるが、そのモメンタムを持続させるのは別次元の課題だ。Cal AIが急成長・プロダクトプレッシャー・配信ドリブン市場でのリアルをどう乗り越えたか、爆発的な注目を持続的なリテンションと長期的な会社づくりに変換したレッスンを語る。


The High-Conviction Filter & Ask the Investors(ハイコンビクションフィルターと投資家への直接質問)

登壇(両セッション合同): Alexa von Tobel(Inspired Capital)、Chi-Hua Chien(Goodwater Capital、共同創業者兼Managing Partner)、Stacy Brown-Philpot(Cherryrock Capital、Founder兼Managing Partner)、Dayna Grayson(Construct Capital)、Carter Reum(M13)

「The High-Conviction Filter」ではStartup Battlefield審査員がDisruptでリアルタイムに見えてきたトレンドとファウンダー品質を振り返り、「スタートアップストーリーテリングがどう進化しているか」「スポットライトの後の12か月で何が起きるか」を語る。「Ask the Investors」では観客主導のQ&Aで、チーム・トラクション・市場機会・ピッチ品質・レッドフラグについて審査員が率直に答える。