記事のサマリー(TL;DR)
- Spotify が米国の18歳以上のPremiumユーザー向けに「Taste Profile」を展開開始
- 自然言語でジャンル・アーティスト・雰囲気を指定し、Discover Weekly・Spotify Wrapped等のレコメンドを数時間以内に変更可能
- 2026年3月のSXSWで共同CEO Gustav Söderström氏が発表、ニュージーランドベータを経て米国へ
国内の音楽・ポッドキャスト配信サービス事業者が注目すべきレコメンドUX設計の潮流
Spotify の「Taste Profile」は、プラットフォームがこれまで”ブラックボックス”として運用してきた推薦アルゴリズムをユーザー自身が自然言語で操作できる仕組みへと転換した点で注目に値します。日本では音楽ストリーミング市場においてSpotify・Apple Music・Amazon Musicが三つ巴の競争を繰り広げており、ユーザーのロック解除(解約防止)のカギがレコメンドの精度にあることは共通認識です。国内のサブスクリプション型ECやコンテンツ配信サービスにとっても、「アルゴリズムを透明化してユーザーに制御権を渡す」というアプローチは、LTV向上施策として検討に値します。GA4やCRMデータをもとにしたパーソナライゼーション基盤を持つ事業者であれば、同様のユーザー入力UIを自社ファネルに組み込む際の参考事例になります。また、子どものコンテンツが親のレコメンドに混入しないトグル機能は、家族アカウントを扱う国内サービスでも同様の課題が頻出しており、プロファイル分離の設計標準として意識しておく価値があります。
詳細
Taste Profile とは何か
「Taste Profile(テイストプロファイル)」は、Spotify が音楽・ポッドキャスト・オーディオブックにわたってユーザーの好みをどう理解しているかを可視化し、ユーザー自身が編集できる機能です。2026年9月23日(水)より、米国のPremiumサブスクライバー(18歳以上)への段階的なロールアウトが始まりました。
同機能は2026年3月、テキサス州オースティンで開催されたSXSWカンファレンスにおいて、Spotify共同CEO Gustav Söderström(グスタフ・セーデルストロム)氏が発表。その後、ニュージーランドでベータテストを実施した後、Spotifyにとってトラフィック・収益の両面で最大の市場である米国での提供に踏み切りました。
アルゴリズムの”鍵”をユーザーに渡す
Spotifyのレコメンドエンジンはそのビジネス上の競争優位の源泉とされてきました。同プラットフォームの旗艦プレイリスト「Discover Weekly」や「Made for You」シリーズ、年末の恒例レポート「Spotify Wrapped」はいずれもこのアルゴリズムによって生成されます。
一方で、アルゴリズムは過去の視聴履歴に引きずられやすく、ユーザーが新しいジャンルや雰囲気を求めていても似たような楽曲を提案し続けるという批判が絶えませんでした。Taste Profileはこの課題に正面から対応するものです。
ユーザーは自然言語で以下のような調整を依頼できます。
- 特定ジャンルやアーティストを「もっと増やす」または「減らす」
- 全体的な雰囲気(vibe)を変える(例:もっとエネルギッシュな楽曲を増やす)
- 特定の時代の音楽を開拓したい場合の出発点を指定する
- ポッドキャストやオーディオブックのレコメンドも個別に調整する
変更後、数時間でアプリのホーム画面に反映されます。
従来の除外機能との違い
Spotifyはこれまでも一部の曲やプレイリストをTaste Profileから除外するオプションを提供していました。最近では、子ども向けコンテンツが親のレコメンドに影響しないようにするトグルスイッチも追加されています。
しかし今回のTaste Profileは、除外だけでなく「方向性の指定」ができる点が従来機能と大きく異なります。例えば、夜間に睡眠用BGMを流している、または車内で同乗者が別の音楽をかけているといった、視聴行動と実際の好みが乖離しやすいシーンに対応できます。
操作方法
モバイルアプリでのアクセス手順は以下の通りです。
- プロフィール画像をタップ
- 下にスクロールして「Taste Profile」を選択
- 音楽・ポッドキャスト・オーディオブックにわたる現在の理解を確認
- 「Tell us more」欄に調整したい内容を入力して送信
今後の展開
現時点でTaste Profileはベータ段階にあります。Spotifyは米国以外のユーザーへの展開時期について具体的なスケジュールを明らかにしていません。