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2026.07.24

AegisAI が AI 駆動スピアフィッシング対策で $36M 調達——元 Google セキュリティ幹部が設立

記事のサマリー(TL;DR)

  • AegisAI が Battery Ventures 主導の Series A で3,600万ドルを調達、累計4,900万ドルに
  • AI 生成フィッシングメールは既存のルールベース防御を50%超の確率でバイパスしており、従来比約2倍の成功率
  • Gmail セキュリティ・reCAPTCHA 開発経験を持つ元 Google 幹部2名が2024年に創業、LangChain など数十社が採用済み

国内 SaaS 事業者・情シス担当者が知っておくべきメールセキュリティの転換点

AI を使ったスピアフィッシングは、日本企業にとっても対岸の火事ではありません。攻撃側は LinkedIn・SNS・社内ドキュメントなどから個人情報を収集し、担当者名・プロジェクト名・出張履歴まで組み込んだ”完全カスタマイズ”の偽メールを自動生成できます。国内では Proofpoint や Mimecast を導入している大企業も多いですが、これらのルールベース製品が前提とする「既知のパターン」はすでに AI 生成攻撃には通用しにくくなっています。

kintone や Salesforce などの SaaS を業務の中心に据え、外部パートナーとのメールやり取りが多い企業ほど、なりすましや請求書詐欺のリスクが高まります。AegisAI のようなアジェンティック型検知——各メールを「人間のように文脈で読む」AI——は、こうした環境で特に効果を発揮します。日本市場では現時点で AegisAI の直接提供は未確認ですが、同様のアプローチをとる製品・ベンダー選定の際に、「ルールベースか、AI エージェント型か」を評価軸に加えることが実務上の判断基準になります。

詳細

AI 攻撃がルールベース防御を破る構造的問題

ハッカーは AI を使って大規模攻撃を展開しており、メールがその主戦場になっています。AI は同僚の名前・進行中のプロジェクト・直近の出張日程といった個人情報を瞬時に集約し、本物そっくりのメッセージを自動生成します。

AegisAI 共同創業者の Cy Khormaee と Ryan Luo は、いずれも Gmail のセーフブラウジング技術や reCAPTCHA の開発に携わってきた元 Google のセキュリティ幹部です。2人は10年超のメールセキュリティ経験を通じ、「if-then ロジック」に依存する従来型のルールベースシステムでは AI が生成した悪意あるメールを検知しきれないと確信し、2024年に AegisAI を創業しました。

「AI を使った攻撃は現在、既存の防御を50%以上の確率で突破しています。以前と比べると約2倍の有効性です。攻撃者はあなたのことを調査し、すべてを把握した上で、完全にオーダーメイドの攻撃を仕掛けてきます」(Khormaee、TechCrunch インタビュー)

AI エージェントによる文脈的検知

AegisAI が開発した AI エージェントは、各メールを人間のアナリストがチェックするように文脈で読み、精巧なチェックリストでも見逃しかねない小さな異常を検出します。

具体的な例として、Khormaee はパスワード付きで CAPTCHA まで組み込んだ悪意ある PDF 添付ファイルの検知を挙げています。こうした手法は標準的なスパムフィルターを意図的にすり抜けるために設計されたものですが、AegisAI の AI はこれも検知できると説明しています。

調達状況と顧客実績

創業から1年未満で、AegisAI は以下のような顧客を獲得しています。

  • Mesh(暗号資産決済企業)
  • LangChain(AI スタートアップ)
  • Lokker(プライバシーコンプライアンスプラットフォーム)

2025年7月に発表された Series A ラウンドは Battery Ventures が主導し、既存投資家の AccelFoundation Capital も参加。調達額3,600万ドルにより、累計調達総額は 4,900万ドル に達しました。

Battery Ventures のゼネラルパートナー Dharmesh Thakker は「悪意ある攻撃者は AI を使い、私たちが対応できる速度をはるかに超えるペースでメール攻撃を仕掛けています。これを防ぐことは多くの企業にとって最優先課題になります」と述べ、AI で AI に対抗するスタートアップへの投資を決めた背景を語りました。

競合環境と AegisAI の差別化

メールのコンテキストを AI で解析して詐欺・なりすましを検知するアプローチは AegisAI だけではありません。Lightspeed がバックする Ocean も同様のポジションを狙っており、既存大手の ProofpointMimecast、新興の Abnormal Security との競争が激化しています。

Thakker が AegisAI に賭ける理由は創業チームの経歴です。世界最大のメールシステムである Gmail のセキュリティを担っていた専門家が率いることで、次世代の主要なハック防止企業になる可能性が最も高いと判断しています。

メール以外への拡張計画

AegisAI は当面メールセキュリティに集中しますが、最終的にはデータセキュリティなど他の防御領域への展開を視野に入れています。

「高度にカスタマイズされたエージェントを構築して調査を実行させるというコアコンセプト——これが次の主要セキュリティ企業を決める鍵になります」(Khormaee)