記事のサマリー(TL;DR)
- Gemini Omni は自然言語による動画生成・マルチターン編集を実現。YouTube Shorts にも無料展開
- Gemini 3.5 Flash は大型フラッグシップモデル並みの性能を Flash 速度で提供。エージェント・コーディングに特化
- 個人 AI エージェント「Gemini Spark」が Google AI Ultra 向けに提供開始。Gmail・Docs・Slides と深く統合
国内の Shopify・EC・業務 SaaS 事業者が注目すべき Gemini 3.5 の実用ポイント
Google I/O 2026 で発表された Gemini 3.5 Flash は、60 秒以内にチェックアウトフローの複数 UX 案を生成するデモを AI Studio 上で公開しました。EC 系の UI 生成や商品カタログの自動分類・リネームといったマルチステップワークフローを、大規模言語モデル並みの精度で高速実行できる点は、日本市場でも Shopify の Checkout Editor 開発や業務 SaaS の専用 UI 構築に直結します。
また、Gemini 3.5 Flash は Google Antigravity(エージェントフレームワーク)と組み合わせることで、非構造化データの動的分類など繰り返し作業の自動化に使えます。kintone や Salesforce のデータを BigQuery に統合して活用しているような構成では、Gemini API 経由でこうしたエージェント機能を組み込む選択肢が現実的です。
Search 上の生成 UI(Generative UI)機能は今夏から全ユーザーに無料提供予定であり、検索体験そのものが変わります。SEO や AIO(AI 最適化)戦略を検討している事業者は、コンテンツ設計の見直しを早めに進めることが望ましい時期に入っています。
詳細
Google I/O 2026 で発表された 2 つの新モデル
2026 年 5 月 29 日、Google は Google I/O 2026 において Gemini Omni と Gemini 3.5 ファミリー を発表しました。
- Gemini Omni:推論能力とコンテンツ生成能力を統合した新モデル。動画生成を皮切りに、画像・音声・動画・テキストを組み合わせた入力から高品質な動画を生成できます。Gemini の実世界知識に基づいたグラウンディングが特徴で、会話形式での動画編集も可能です。
- Gemini 3.5:フロンティア級の知性とアクション実行を統合したモデルファミリー。複雑な長期エージェントタスクに対応する能力の大幅な向上が最大の特徴です。最初のリリースとして 3.5 Flash が提供開始されました。
Gemini Omni の 3 つのデモ
1. 会話による動画編集
Omni の目玉機能のひとつが、自然言語での動画編集です。指示のたびに前の状態が記憶され、キャラクターの一貫性・物理演算・シーンの文脈が維持されます。
デモで示されたプロンプト例:
- 「彫刻を泡で作ってください(Make the sculpture out of bubbles.)」
編集を重ねるごとに、自分では撮影不可能な映像表現が可能になります。
2. アクションの再構成
撮影済みの動画をベースに、Omni に対してアクションの変更を指示できます。新しいキャラクターや物体の追加、シーンの予想外な変換が自然言語だけで実現します。
デモで示されたプロンプト例:
- 「部屋の照明を暗くし、手の上に浮かぶガラス球の中に白黒チェッカーボードの部屋を配置して、無限の再帰構造を作ってください。カメラはゆっくり球に近づき、ループ動画にしてください。」
3. マルチターンでの動画リファイン
同一シーンのコンテキストを保ちながら、環境・アングル・スタイル・細部を複数ターンにわたって変更できます。以下は連続したプロンプトの例です:
- 「バイオリニストが曲を演奏する動画」
- 「バイオリニストを指定の画像環境へ移動させて」
- 「バイオリンを見えなくして」
- 「カメラアングルをバイオリニストの肩越しに変えて」
各プロンプトが前の状態に積み重なる形で編集が進む点が、従来の動画編集ツールとの大きな違いです。
Gemini 3.5 Flash の 4 つのデモ
1. 大規模エージェントタスクの実行
3.5 Flash は、複数の大型フラッグシップモデルと同水準の性能を Flash シリーズの速度で提供します。この速度と性能のバランスが、長期エージェントタスクへの適性を高めています。
Antigravity と連携したデモでは、非構造化アセットを動的な基準に基づいて自動でリネーム・カテゴリ分類するマルチステップワークフローを実行しました。Antigravity ハーネスと組み合わせることで、協調型サブエージェントを展開し、最も要求の高いユースケースにも対応できます。
2. Web UI・グラフィックスの生成
3.5 Flash は Gemini 3 の強力なマルチモーダル基盤の上に構築されています。AI Studio 上で 60 秒以内 にチェックアウトフローの複数の UX アプローチを生成するデモが公開されました。インタラクティブな UI プロトタイプを高速に作成できる点は、フロントエンド開発の効率化に直結します。
3. AI Mode in Search と情報エージェント
3.5 Flash は現在、Gemini アプリおよびグローバルの AI Mode in Search のデフォルトモデル**として採用されています。
新機能「情報エージェント(Information Agents)」は 24 時間 365 日バックグラウンドで稼働し、設定した条件に合致する情報を自動で収集・通知します。たとえば「お気に入りのアスリートがスニーカーコラボやシグネチャーモデルを発表したら教えて」といった設定が可能です。情報エージェントは今夏、Google AI Pro & Ultra 加入者向けに先行提供されます。
さらに Search では 生成 UI(Generative UI) 機能が今夏から全ユーザーに無料提供される予定です。質問の内容に応じて、視覚的なツールやシミュレーションを含むカスタム UI をオンザフライで生成します。デモでは「ジャイロイドパターン」を説明するインタラクティブなビジュアルが生成されました。
ウェディングプランニングや新しいフィットネスルーティンのような継続的なタスクに対しては、ダッシュボード・トラッカー・ミニアプリなどのカスタム体験を構築する機能も追加予定です。Antigravity を使った独自体験の作成は、まず米国の Google AI Pro & Ultra ユーザーから展開が始まります。
4. 個人 AI エージェント「Gemini Spark」
Gemini Spark は Gemini 3.5 上で動作し、Antigravity ハーネスを使用する個人向け AI エージェントです。24 時間 365 日稼働し、ユーザーの指示のもとでデジタルライフのサポートと代理アクションを実行します。
Gmail・Docs・Slides など日常的に使う Google Workspace ツールとの深い統合が特徴です。デモでは「ナッツフリーのスナックリストを作成し、Instacart に追加する」というタスクを自律的に実行しました。Gemini Spark は現在、米国の Google AI Ultra 加入者全員に提供開始されています。
提供状況まとめ
| モデル / 機能 | 提供先 | 時期 |
|---|---|---|
| Gemini Omni Flash | Google AI Plus・Pro・Ultra、YouTube Shorts、YouTube Create App | 現在展開中 |
| Gemini Omni Flash(開発者・企業向け) | API 経由 | 数週間以内 |
| Gemini 3.5 Flash | Google Antigravity、Gemini API(AI Studio・Android Studio)、Gemini Enterprise Agent Platform、Gemini Enterprise | 一般提供済み |
| 情報エージェント | Google AI Pro & Ultra | 2026 年夏 |
| 生成 UI in Search | 全ユーザー無料 | 2026 年夏 |
| Gemini Spark | 米国 Google AI Ultra | 提供開始済み |