記事のサマリー(TL;DR)
- Google が Gemini・Flow で生成したメディアの可視ウォーターマークを Settings > Media Watermark からオン/オフ可能に
- 不可視の SynthID ウォーターマークと C2PA 標準メタデータは削除対象外で、AI 生成判別機能は維持
- オープンソースライブラリ「Credentio」を新たに公開し、開発者がアプリにローカル検証機構を組み込めるように
生成 AI コンテンツの真正性管理に関わる国内事業者への影響
Google の今回の変更は、クリエイティブ用途での実用性と AI 生成コンテンツの追跡可能性を両立させようとする設計思想を示しています。日本のマーケティング・EC・メディア制作の現場では、Gemini や Google の動画エディタ Flow で生成した素材に可視ウォーターマークが入ることが商業利用の障壁になっていました。これが任意設定になることで、広告バナーや商品画像・プロモーション動画への組み込みが現実的になります。
一方、不可視の SynthID と C2PA メタデータが残る点は、国内で議論が進む「AI 生成物の開示義務」に関連した規制対応として重要な布石です。Gemini または Search を使えば画像が AI 生成かどうかを確認できる仕組みは維持されるため、透明性の担保と制作物の完成度を同時に確保できます。
また、オープンソースライブラリ「Credentio」の公開により、社内システムや EC サイトのメディア管理機能に AI 生成検証ロジックを組み込むことが容易になります。Shopify Plus ストアや kintone ベースの業務システムにおいても、アップロードされた画像が AI 生成かどうかをローカルで判定するワークフローを実装するための選択肢が広がります。
詳細
Google が可視ウォーターマークをオプション化
Google は 2026 年 8 月 14 日(金)、Gemini で生成した画像・動画・楽曲から可視ウォーターマークを削除できるようにすると発表しました。同社 Gemini 担当 VP の Josh Woodward 氏が X 上のポストで詳細を明らかにしました。
対象モデルは以下の 3 種類です。
- Nano Banana
- Omni
- Lyria(音楽生成モデル)
設定変更は Gemini および Google の動画エディタ Flow で利用でき、Search へのサポートも近日追加予定です。ユーザーは「Settings(設定)> Media Watermark(メディアウォーターマーク)」から可視マークのオン/オフを切り替えられます。ロールアウトは今後数日以内に順次開始されます。
SynthID・C2PA は引き続き有効
Woodward 氏は「クリエイティブコントロールと安全性のバランスを取っている」と説明しています。具体的には:
- 可視ウォーターマーク:任意設定(オフ可)
- SynthID 不可視ウォーターマーク:引き続き自動付与
- C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)標準メタデータ:引き続き自動付与
Gemini または Search を使って「この画像が AI 生成かどうか」を確認する機能は維持されるため、コンテンツの出所追跡は可能です。
オープンソースライブラリ「Credentio」を公開
Google は同時に、「Credentio」という新しいライブラリをオープンソースで公開すると発表しました。開発者はこのライブラリを使い、自社アプリにローカルの AI 生成検証メカニズムを組み込めます。クラウド API に依存せずにクライアント側で検証できる点が特徴です。
Anthropic の動向との対比
この発表は、Anthropic が EU 規制への準拠を目的として Claude が生成するテキストやファイルにウォーターマークを埋め込む方針を打ち出したことを受けたタイミングと重なります。両社の対応は「透明性の確保方法」において異なるアプローチを取っており、AI 生成コンテンツの識別をめぐる業界標準の形成競争が続いています。