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2026.06.27

Gemini 3.5 Flash にコンピューター使用機能が標準搭載――エンタープライズ自動化エージェント構築が可能に

記事のサマリー(TL;DR)

  • Gemini 3.5 Flash にコンピューター使用機能が内蔵統合、旧来の独立モデル(Gemini 2.5 computer use)から進化
  • ブラウザ・モバイル・デスクトップを横断する長期タスク・ソフトウェアテスト自動化など企業向けユースケースに対応
  • プロンプトインジェクション対策として敵対的学習と「敏感操作の明示的確認要求」「間接インジェクション検出で自動停止」の2種のセーフガードを提供

国内の業務自動化・RPA 基盤に与える影響

2026年6月時点で、日本国内でも kintone や Salesforce、freee といった SaaS を複数横断して操作する業務フローを自動化したいニーズは根強く存在します。従来の RPA ツール(UiPath、Automation Anywhere など)はセレクター依存でメンテナンスコストが高い一方、Gemini 3.5 Flash の computer use はスクリーンショットを「見て・推論して・操作する」構成をとるため、UI 変更への耐性が相対的に高くなります。

Gemini API 経由で利用できる点も重要です。Google Cloud を既に契約している日本企業であれば、新たなベンダー契約なしに Gemini Enterprise Agent Platform から試験導入できます。ただし、プロンプトインジェクションリスクは実運用での最大の懸念点であり、Google が推奨する「セキュアなサンドボックス・ヒューマンインザループ・厳格なアクセス制御」の組み合わせは、国内企業がエージェントを本番運用する際に事前設計として組み込む必要があります。

kintone や Salesforce をベースに独自 UI を構築している環境では、ブラウザ上の操作をそのままエージェントに委譲できる可能性があるため、RPA 代替としての評価検証を先行させる価値があります。

詳細

コンピューター使用機能が Gemini 3.5 Flash に統合

2026年6月24日、Google DeepMind は Gemini 3.5 Flash においてコンピューター使用(computer use)機能を標準搭載ツールとして公開しました。これまで独立した Gemini 2.5 computer use モデルとしてのみ提供されていた同機能が、メインの Gemini Flash モデルに直接統合される形になります。

Gemini はすでに関数呼び出し(function calling)や、Search・Maps グラウンディングなどの組み込みツールに強みを持ちます。そこにコンピューター使用機能が加わることで、開発者はブラウザ・モバイル・デスクトップ環境をまたいで「見る・推論する・操作する」カスタムエージェントを 3.5 Flash 単体で構築できるようになりました。

想定されるユースケース

公式ブログが挙げる具体的な活用例は次のとおりです。

  • 継続的ソフトウェアテスト(continuous software testing): UI テストをエージェントが自律的に実施・記録するワークフロー
  • 業務アプリケーションをまたぐナレッジワーク(knowledge work across professional applications): 複数の SaaS を横断して情報を収集・整理するタスク
  • アクセシビリティ監査: 3.5 Flash がドキュメントを自律的にレビューし、アクセシビリティ上の問題を検出する(自社ドキュメント審査のデモとして公開済み)
  • 機能カテゴリ分析: Gemini アプリ自体を 3.5 Flash が解析し、機能の分類リストを生成するデモも公開

これらは単発のコマンド実行ではなく「長期タスク(long-horizon tasks)」と呼ばれる、複数ステップにわたる継続的な自動化に分類されます。

エンタープライズ向けセーフガードの詳細

ライブ環境でエージェントが動作する際の最大リスクはプロンプトインジェクションです。Google はこれを軽減するために Gemini 3.5 Flash のコンピューター使用に特化した敵対的トレーニング(targeted adversarial training) を実施しています。

加えて、企業向けに以下2種の任意適用セーフガードシステムを提供します。

  1. 明示的な確認要求(Explicit user confirmation): 敏感な操作や取り消し不可能な操作に対して、実行前にユーザー確認を必須とする
  2. 自動停止(Automatic task stop): 間接プロンプトインジェクションが検出された場合にタスクを自動停止する

Google はこれらを「多層防御(defense-in-depth)」アプローチと位置づけ、セキュアなサンドボックス・ヒューマンインザループ検証・厳格なアクセス制御と組み合わせることを強く推奨しています。詳細なガイドラインはベストプラクティスドキュメントで公開されています。

利用開始の方法

  • デモ環境: Browserbase がホストするデモ環境で今すぐ機能を試験できます
  • 本番構築: Gemini API および Gemini Enterprise Agent Platform のリファレンス実装とドキュメントから開発を開始できます