記事のサマリー(TL;DR)
- LinkedInがユーザー向けに「AIスロップっぽい」報告ボタンを追加、同社CPOが「最優先課題」と明言
- 1日あたり「数十万件」の自動コメントをブロック、過去数ヶ月で数百万件の自動化試みを遮断済み
- AI補助で投稿文全体を書き換える「Enhance your post」機能を廃止し、校正のみに機能を縮小
国内BtoBマーケター・情シス担当者が押さえておくべきLinkedIn運用への影響
LinkedInは日本国内でも採用ブランディングや法人マーケティングの場として利用が広がっています。今回の施策は、AIツールで生成した投稿文をそのまま公開している企業アカウントや個人アカウントに直接影響します。
具体的には、新設されたスロップ報告ボタンによるユーザーシグナルがLinkedInの分類モデルに取り込まれ、AI生成とみなされた投稿はネットワーク外のおすすめコンテンツに表示されにくくなります。また、投稿が「不自然」と判定された場合、投稿者のダッシュボードに非公開で通知が届く仕組みも導入されます。
さらに、これまでChatGPTや各種AIライティングツールで下書きを生成し、LinkedInの「Enhance your post」機能で整形するフローを採用していた場合は、その機能自体が廃止される点に注意が必要です。代替として提供される新機能は「文章を書き換える」のではなく「自分の言葉を校正する」に留まります。つまり、LinkedInはプラットフォームとして「自分の声で書く」ことを発信品質の基準として明確に位置づけたと言えます。kintoneやSalesforceなどのCRM・社内システムと連携した投稿自動化フローを組んでいる企業は、自動投稿の頻度・内容・文体が今後の可視性に影響する可能性を念頭に置いておく必要があります。
詳細
LinkedInがAIスロップへの本格対応を発表
2026年7月30日(木)、LinkedInは低品質なAI生成コンテンツ——いわゆる「AIスロップ(AI slop)」——をフィード上から減らすための新機能群を発表しました。
目玉となるのは、投稿に対して「Seems like AI slop(AIスロップっぽい)」と報告できるボタンの追加です。同社チーフプロダクトオフィサー(CPO)のHari Srinivasanは自身のLinkedIn投稿でこう述べています。
「AIスロップは私たちにとって最優先事項です。LinkedInに来るユーザーはリアルな人と繋がり、本物の視点・アイデア・専門知識を共有したいと思っています」
報告ボタンの仕組みと分類器への活用
ユーザーが「AIスロップっぽい」ボタンを押すと、そのシグナルがLinkedInのAIモデルにフィードバックされ、スロップ検出精度の向上に使われます。同時に、ネットワーク外から表示されるおすすめコンテンツの精度向上にも寄与する設計です。
また、自分の投稿が不自然(AI多用)と見なされていると判断された場合、ダッシュボード上で非公開の通知が表示されます。これは「スロップを量産している」というペナルティというより、「AIを自分の文章の補助として使っているユーザーが改善できるよう支援する」という位置づけです。
自動化対策の現状数値
Srinivasanによると、LinkedInはすでに以下の規模で自動化対策を講じています。
- **1日あたり「数十万件(hundreds of thousands)」**の自動コメント試行をブロック
- **過去数ヶ月で「数百万件(millions)」**のその他自動化試みを遮断
「Enhance your post」機能の廃止
LinkedInはこれまで、AIが投稿全体を書き直す「Enhance your post(投稿を強化)」機能を提供していましたが、これを廃止します。代替として導入されるのは、ユーザー自身の言葉をそのままに誤字・文法をチェックする校正機能です。AIによる「声の乗っ取り」ではなく「補助」に機能を限定する方針への転換を示しています。
業界全体に広がるAIスロップ問題
今回のLinkedInの動きは業界全体の潮流と一致しています。
- Substack:先週、コンテンツがAI生成かどうかを識別するツールをPangram社との提携で追加
- Pangram:今週、AIコンテンツ問題への対策を目的とした**900万ドル(約14億円)**の新規資金調達を発表
- Digg:Redditのライバルとして立ち上げたプラットフォームを2026年3月に閉鎖。ボットの氾濫を制御できなかったことが理由
- Cloudflare:インターネット全体のトラフィックにおいて、ボット由来のリクエストが人間由来のリクエストを上回るマイルストーンに到達したことを報告。しかも当初の予測よりも早く達成された
その他のアップデート
Srinivasanは以下の追加施策も発表しています。
- プロフィールおよびページの本人確認ツールへのアクセスを拡大
- フォローしたくない企業ページからのコメントをブロックするオプションの追加