記事のサマリー(TL;DR)
- MicrosoftはQ4(2026年4〜6月)にAnthropicへの投資で32億ドル(約4,800億円)の評価益を計上し、希薄化後EPSを33セント押し上げた
- OpenAI投資は同四半期に約6億ドルの評価減となりEPSを7セント押し下げたが、通年では50億ドルのプラスと堅調
- 四半期単体のAnthropicの評価益が、OpenAIの通年評価益(50億ドル)に匹敵する水準に達したことをMicrosoft自身が異例の開示として強調
国内AI投資・Azure事業者が注目すべきMicrosoftの投資戦略の変化
MicrosoftがAnthropicとOpenAIという競合する2大AIラボ双方に多額の資本を投じている構造は、日本のエンタープライズ市場にも直結する話題です。Microsoftは2025年11月にAnthropicへ50億ドルを出資しており、この投資にはAnthropicがAzureサービスを300億ドル分購入するという循環合意が紐付いています。つまりAnthropicのClaudeモデルがAzureインフラ上で稼働する比率が今後高まる可能性があり、すでにAzureを基盤として業務システムやSaaSを運用している日本企業にとっては、Claude APIのAzure経由提供やエンタープライズ向け契約条件の変化が現実的な選択肢として浮上します。
一方でOpenAI(Microsoftが約27%を保有)への投資は通年では50億ドルの評価益と好調ですが、Q4単体では6億ドルの評価減という結果が出ています。MicrosoftがOpenAI投資を四半期ごとに報告する一方でAnthropicは非定期開示にとどめている点も、両社との関係性の非対称性を示しています。kintoneやSalesforce、freeeなどのSaaSと生成AIを接続した業務自動化を検討する際、バックエンドのモデル提供元がAzure上のClaudeになるのかOpenAIになるのかは、コスト・可用性・契約条件に関わる実務上の判断となってきます。
詳細
MicrosoftのFY2026 Q4決算——AI投資2本立ての明暗
Microsoftは2026会計年度第4四半期(2026年6月30日終了)に売上高900億ドル、純利益358億ドルという高収益を達成しました。通年では売上高3,318億ドル、純利益1,337億ドルを計上しています。
その決算の中で注目を集めたのが、2大AIラボへの投資評価額の開示です。
Anthropic投資:Q4単体で32億ドルの評価益
MicrosoftはAnthropicへの投資について、今回のQ4で32億ドルの評価益を計上しました。希薄化後EPSへの寄与は**+33セント**で、同四半期の希薄化後EPS4.81ドルの約7%に相当します。
この投資は2025年11月に実行されたもので、出資額は50億ドル。同時にAnthropicはAzureのクラウドサービスを300億ドル分購入する契約も締結しています。なお、MicrosoftはAnthropicの投資評価額を毎四半期開示しているわけではなく、今回は例外的な開示です。
OpenAI投資:Q4は6億ドルの評価減、通年では50億ドルの評価益
MicrosoftはOpenAIの株式を約27%保有しており、こちらは毎四半期評価額を開示しています。今回のQ4では約6億ドルの評価減となり、EPSを7セント押し下げました。ただしMicrosoftの規模感から見れば「誤差の範囲」と同社も述べています。
通年(FY2026全体)で見るとOpenAI投資は50億ドルの評価益を生み出し、EPSに+0.67ドルを貢献しました(同社のFY2026 EPSは17.95ドル)。
「1四半期のAnthropicが1年間のOpenAIに匹敵」という異例の比較開示
今回Microsoftが特に強調したのは、Q4単体のAnthropicへの評価益(32億ドル)が、OpenAIへの通年評価益(50億ドル)に近い水準に達したという事実です。この比較を同社が自ら決算説明の中で言及したこと自体、AI投資の重心が変化しつつあることを示すシグナルとして市場から受け止められています。
なお、MicrosoftはOpenAIから売上レベニューシェアの支払いも受け取っていますが、その金額は非開示で、投資の評価額とは別勘定として扱っています。