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2026.09.15

NvidiaのジェンセンCEO、トランプ大統領とAIスローダウン論に真っ向反論——All-In Summit電話会談の全容

記事のサマリー(TL;DR)

  • NvidiaのジェンセンCEOがAll-In Summitでトランプ大統領から突然の電話を受け、スピーカーで会場に公開
  • Anthropic・OpenAI・SpaceXのトップが支持する「AIスローダウン論」に対し、トランプ・ファン両氏が「やらせない」と明言
  • Gallup調査では米国人の70%がデータセンター建設に反対。環境・コスト懸念が主因で、政治対立とは別の民意が存在

米国AI政策の風向きと国内データセンター・生成AI投資への影響

米政権がNvidiaと連携してAI開発加速を国家方針として打ち出す構図が鮮明になった今回の出来事は、日本のAI投資判断にも間接的な影響を及ぼします。米国が半導体・データセンターの建設規制に距離を置く姿勢を強めれば、NvidiaのGPU調達競争はさらに激化し、国内クラウド事業者や生成AI基盤を整備する企業のコスト・リードタイムにも波及する可能性があります。一方、日本国内でもデータセンター建設に伴う電力・水資源の問題は共通の課題であり、米国の「推進一択」の姿勢がそのまま国内に適用されるわけではありません。生成AIシステムの設計・調達を検討する企業は、米国の政策動向を注視しながら、AWS・GCP等の既存クラウドインフラを活用した段階的な構成を現実的な選択肢として持ち続けることが重要です。

詳細

トランプ大統領からの”スピーカー通話”——All-In Summitでの一幕

2025年月曜日、ロサンゼルスで開催されたAll-In Summitに登壇中のNvidia CEO ジェンセン・ファン(Jensen Huang)氏の元に、無視できない電話がかかってきた。発信者はドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領だった。

ファン氏は「今ベスティーズと一緒にステージに立っている」とトランプ氏に伝えた。「ベスティーズ」とは、ポッドキャスト「All-In」のホストを務めるベンチャー投資家たち——Chamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)、Jason Calacanis(ジェイソン・カラカニス)、およびホワイトハウス顧問のDavid Friedberg(デイビッド・フリードバーグ)とDavid Sacks(デイビッド・サックス)——を指す。

ファン氏がトランプ氏との通話をスピーカーモードで会場に公開するという、広報担当者が夜中に目が覚めるような演出を見せると、トランプ氏はこう言った。「人生の素晴らしいところは、ジェンセンが世界で最も複雑なコンピューターチップを開発できるのに……スピーカーフォンの使い方がわからないことだ」。(ファン氏はスピーカーフォンの仕組みを当然知っており、実際には音声を会場に届けるためのマイクを舞台スタッフに要求していた。)

AIスローダウン論をめぐる対立構図

今回の通話に至る背景には、その直前までステージ上で議論されていたテーマがある。AnthropicのCEO ダリオ・アモデイ(Dario Amodei)氏が提唱する「AIの能力向上ペースを落とすべき」という主張だ。SpaceXのCEO イーロン・マスク(Elon Musk)氏とOpenAIのCEO サム・アルトマン(Sam Altman)氏はこの見解に公式に賛同している。ファン氏の立場はこれと真逆だ。

「それは、この事態を望まない多くの人々の思う壺だ」とトランプ氏は通話で述べた。「政治的な人間かもしれないし、中国かもしれない。いずれにせよ、そうはさせない。これはデマだ」。

「その通りです。そうはさせません、大統領閣下」とファン氏が返答すると、会場は拍手に包まれた。

“データセンター建設反対は国際的な心理作戦”という主張

トランプ氏やY Combinator CEOのGarry Tan(ギャリー・タン)氏らは、データセンター建設への反対感情の高まりが「米国経済成長を阻害するための国際的な心理作戦(psyop)の一環」だと主張している。

しかし、米国民の懸念の実態はより単純だ。Gallup社の最新調査によると、米国人の10人中7人(70%)が自分の地域へのデータセンター建設に反対しており、50%超の回答者が「環境資源への影響」を理由に挙げている。また約20%がコスト・オブ・リビングの上昇や生活の質への影響を懸念している。

「止めることはしない、ただし慎重に」——トランプ氏の言葉

トランプ氏はファン氏にこう語った。「少し注意は必要だ……物事を行う際には慎重に進めなければならない。しかし、それは産業を止めるという意味ではない。私は全力でサポートする。あなたの考えがわからなかったが、自分と同じ考えだと信じていた。私たちがリードしていく」。

トランプ政権によるAI産業への明確な支持表明と、現役の最大手チップメーカーCEOとの公開的な連携は、AIガバナンスをめぐる国際的な議論において米国の立ち位置をより強く際立たせる出来事となった。