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2026.07.12

OpenAI が家族向け専任PMを採用——ChatGPT のユーザー層が35歳以上へ急拡大

記事のサマリー(TL;DR)

  • ChatGPT の35歳以上ユーザー比率が1年でグローバル26%→31%に拡大、18〜24歳は34%→29%に低下
  • OpenAI がサンフランシスコで家族・介護者・高齢者向けプロダクトの専任マネージャーを採用中
  • 米国の親スマホユーザーの ChatGPT 利用率は16%→24%に上昇(2025年Q2、Sensor Tower推計)

国内の親・家庭向け AI 利用における安全設計の論点

Family Online Safety Institute が4,000超の家庭を対象に実施した調査では、「子どもが過去1週間に生成 AI を使った」と答えた米国の親は27%だったのに対し、子ども自身の回答は38%に達した。この「親の認識不足」は日本でも同様の構図が生じやすい。文部科学省が2024年度から生成 AI の学校利用ガイドラインを整備し始めた一方で、家庭での利用実態を把握する仕組みはまだ十分ではない。OpenAI が導入した「Trusted Contact(信頼できる連絡先)」機能のように、自傷の懸念が生じた際に保護者へ通知する設計は、今後 SNS 各社や教育系 SaaS にも波及する可能性が高い。kintone や Salesforce ベースの校務支援システムを扱う情シス担当者にとっても、子ども・保護者向けの AI 機能を検討する際には「年齢適合の体験設計」と「保護者の可視性確保」が要件として浮上してくるだろう。

詳細

ChatGPT のユーザー構造が変化——ファミリー層が急増

ChatGPT のローンチから3年余りが経過し、OpenAI は個人ユーザーから家庭全体へとプロダクトの射程を広げている。Sensor Tower が TechCrunch に独占提供したデータによると、グローバルでの ChatGPT ユーザーに占める35歳以上の割合は2024年Q2の26%から2025年Q2には31%へ上昇した。一方、18〜24歳の比率は同期間に34%から29%へ低下している。

米国に絞ると、スマートフォンを利用する親のうち ChatGPT を使った割合は2025年Q2に24%に達し、前年同期の16%から大幅に増加した。

専任 PM 採用が示す戦略転換

OpenAI はサンフランシスコで、家族・介護者・高齢者向けのプロダクト体験を構築する専任プロダクトマネージャーを募集している。求人票には「保護者・家族向けプロダクトの構築経験」および「信頼性を重視するコンシューマー体験」の実績が要件として明記されている。

テクノロジー調査会社 Creative Strategies の CEO・Ben Bajarin 氏は、この採用を「Google・Apple・Meta がプラットフォームを日常生活に定着させる中でたどった道筋と同じ」と評しつつも、「AI アシスタントはコンテンツや端末を仲介するだけでなく、会話の相手として機能するため、賭け金がはるかに大きい」と指摘する。

安全設計と規制への対応

Family Online Safety Institute の CEO・Stephen Balkam 氏は今回の採用について、「プロダクトの成熟と、子ども・10代向け AI には大人向けとは異なる安全策が必要だという認識の高まりを反映している」と述べ、「これは安全のための再設計(safety by redesign)だ」と表現した。

OpenAI はすでに複数の安全措置を段階的に導入している。

  • 10代アカウントへの保護者管理機能の追加
  • 苦痛のサインを含む会話を、そうした状況をより適切に扱える推論モデルへルーティング
  • 自傷の懸念が生じた際に家族・介護者へ通知するオプション機能「Trusted Contact」の提供開始

OpenAI は過去に、子どもが ChatGPT の利用によって被害を受けたと主張する保護者から複数の訴訟を抱えており、自殺に関わるケースも含まれている。Balkam 氏は「AI 企業には、公的圧力や規制の高まりに押されて子どもを大人と同様に扱い続けたソーシャルメディアの失敗を回避する機会がある」と訴えている。

競合他社との比較(Sensor Tower データ)

アプリ 25〜34歳の割合 45歳以上の割合
ChatGPT 40% 11%
Claude(Anthropic) 40% 14%
Gemini(Google) 40% 12%
Copilot(Microsoft) 33% 20%

ChatGPT は45歳以上のユーザー比率こそ低いが、前年比3ポイント増と伸び率では競合を上回る。Claude と Gemini は同層のシェアが減少している。

米国の親スマホユーザーへのリーチでは、Gemini が32%でトップ、ChatGPT が24%で続き、Claude は4%、Copilot は2%にとどまっている。

今後の展望——家族向け AI 機能の本格化へ

Bajarin 氏は、AI が世代を超えて共有されるテクノロジーになるにつれ、各社が以下のような機能を展開すると予測する。

  • ファミリープランの提供
  • 子ども・10代向けプロフィールと介護者向けツール
  • 共有ホールドメモリ(shared household memory)
  • AI チュータリング機能
  • より強固な安全管理機能

OpenAI は San Antonio Spurs Community Impact 組織や Positive Coaching Alliance との連携ワークショップを通じ、学習・コーチング・若者への AI 活用を探るイニシアチブも進めている。