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2026.09.25

Oracle がニューメキシコ州 Stargate データセンター「Project Jupiter」に不可抗力通知

記事のサマリー(TL;DR)

  • Oracle が Stargate の旗艦拠点 Project Jupiter で不可抗力通知を送付。テナント撤退ではなく、2028年稼働遅延時の支払猶予確保が目的
  • 2.45ギガワット規模のキャンパスを支えるBloom Energyの燃料電池向けガスパイプラインが約6ヶ月遅延し、2027年2月1日以降に延期
  • 大気質許可証の取得も未解決で、州環境局は2025年11月23日までの判断を求められている

国内 AI データセンター整備・エネルギー調達事業者が注目すべき規制リスクの構造

Project Jupiter が直面している問題の本質は、AI 向け大規模データセンターの「エネルギー調達リスク」が、建設コストや技術選定よりも先にプロジェクト全体のボトルネックになりうる点です。日本でも政府主導の AI・半導体インフラ投資が加速していますが、大型データセンターの立地審査や電力系統への接続申請には時間がかかり、ガス供給ルートの許認可と同様の規制遅延リスクが潜在します。また、不可抗力条項(force majeure)を契約設計の初期段階から盛り込み、許認可遅延を「当事者の支配外の事象」として定義しておく慣行は、国内のデータセンター賃貸・電力供給契約においてまだ一般的ではありません。大規模クラウドインフラへの長期コミットを検討する企業は、今回のケースを契約リスク管理の参照事例として位置付けられます。

詳細

Oracle が不可抗力通知を送付した背景

Bloombergが2025年9月24日(木)に最初に報じたところによると、Oracle はニューメキシコ州にある Stargate データセンターキャンパス「Project Jupiter」の開発者に対し、不可抗力通知(force majeure notice)を送付しました。不可抗力条項はエネルギー・商品取引の契約で広く使われており、当事者の支配が及ばない事象によって履行義務が阻害された場合に、その義務を免除または猶予するものです。

Bloomberg の情報筋によると、Oracle はキャンパスの主テナントとしての契約から離脱しようとしているわけではありません。この通知の目的は、施設が 2028 年の稼働目標を達成できなかった場合に、Oracle が支払いを遅延させる権利を確保することにあります。

Oracle は CNBC に対し「Project Jupiter は計画通りのスケジュールで進んでいる。ニューメキシコへの全面的なコミットメントを維持しており、今後の展開に自信を持っている」とコメントしています。通知を受け取った Blue Owl Capital の担当部門も「この通知は、この複数年プロジェクトへの財務的コミットメントを変えるものではない」と述べています。

エネルギー供給をめぐる許認可の連鎖的遅延

Project Jupiter はガス駆動の燃料電池メーカー Bloom Energy(ブルームエナジー)の設備で稼働する設計で、安定したガス供給がスケジュールの鍵を握ります。しかし、敷地へガスを供給する予定だった Energy Transfer 社のパイプラインは、規制当局が許可を繰り返し却下した結果、約 6 ヶ月遅延し、完成時期が 2027 年 2 月 1 日に後ろ倒しになっています。2025 年 8 月には、Bloomberg がこれらの却下を受けてパイプラインのルートが変更されたと報じていました。

さらに、キャンパスに電力を供給する燃料電池システムの大気質許可証(air-quality permit)も取得できていません。州環境局は 2025 年 11 月 23 日までに判断を下す期限を課せられており、結果次第でスケジュールにさらなる影響が生じる可能性があります。

Stargate と政治的背景

Project Jupiter は、Oracle・OpenAI・SoftBank がドナルド・トランプ大統領の第 2 期政権発足当初に発表した AI インフラ構想「Stargate(スターゲート)」の旗艦拠点の一つです。同キャンパスは地域住民や環境団体からの反対を受けており、中間選挙を前に政治的な争点にもなっています。Bloomberg によると、Oracle は批判に対応するためニューメキシコ州内でパブリック・アウトリーチキャンペーンを展開しています。

AI データセンター建設への国内外の視線

今回の通知は、AI データセンター建設が全米規模で厳しい目にさらされる中で発生しています。OpenAI のような顧客向けに容量を確保しようと、開発各社が莫大なコストを負担している状況でもあります。Project Jupiter のケースは、技術的な建設能力よりも、エネルギー許認可・環境規制・地域合意形成が大型 AI インフラのクリティカルパスになりうることを示す具体例として注目されています。