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2026.07.25

Prentis:Reid Hoffman・Marc Pincus共同創業のAIラボが評価額10億ドルで1億ドル調達交渉中

記事のサマリー(TL;DR)

  • Reid Hoffman・Marc Pincus共同創業のPrentisが、評価額10億ドルで1億ドル調達を交渉中(2026年7月時点)
  • 「Hive-32B」モデルはWindowsAgentArenaおよびScreenSpot-v2でGPT-5.4・Claude Opus 4.6を上回ると主張。フロンティアAPIの約1/10のコストを実現
  • 医療・製造業などと締結済みの契約総額は最大5,000万ドル。2025年Q3に年間換算7,500万ドルの売上ペースを予測

国内製造・医療DX事業者が注目すべき「コンピューター操作型AIエージェント」の動向

Prentisが狙う市場は、書類処理・システム横断操作といったホワイトカラーの定型業務自動化です。具体的には保険金請求処理や関税還付の例外対応など、人手でペーパーワークを追う業務をAIエージェントが代替します。日本では製造業・医療・流通分野で同様の定型業務が多く残っており、SAPやkintoneなど既存業務システムをUIレベルで操作できるエージェントへの需要は現実的です。Anthropicがコンピューター操作スタートアップのVerceptを買収し、OpenAIやMira MuratiのThinking MachinesもこのカテゴリーにAIエージェントを投入している点からも、「コーディング補助」に続く次の主戦場として各社が本格参入していることが見て取れます。kintone・Salesforceなど複数SaaSをまたぐ入力・照合業務を抱える企業にとって、コンピューター操作型エージェントの実用化水準は2026年を境に急速に変わりつつあります。

詳細

Prentisとは:コンピューター操作モデルに特化したAIラボ

Prentis(プレンティス)は2026年4月に設立されたAI研究ラボで、シリアルアントレプレナーのRitankar Das(CEO)、LinkedIn共同創業者でGreylockパートナーのReid Hoffman、Zynga創業者のMarc Pincusの3人が共同創業しました。

同社のフォーカスは「コンピューター操作モデル(computer use models)」です。オフィスワーカーが日常的にドキュメントや業務システムを操作する手順をモデルに学習させ、AIエージェントがそれらタスクを自律的に実行できるようにすることを目指しています。顧客向けのユースケースとしては、保険金請求の処理や関税還付の例外対応など、従来は人手による書類追跡が必要だった業務の自動化が挙げられています。

評価額10億ドル・調達額1億ドルの交渉と既存契約

TechCrunchが入手した情報によると、Prentisは評価額10億ドルで1億ドルの資金調達を交渉中です。既存顧客との契約総額はすでに最大5,000万ドルに達しており、契約先には医療マネジメントサービス組織、製造業者、衣料・日用品メーカーが含まれます。

投資家向け資料では、2025年Q3(第3四半期)末までに年間換算7,500万ドル(approximately $75 million annualized run rate)の売上ペースを達成すると予測しています。ただし同資料には「実現した節約額の20%を契約料とした推定年換算値であり、認識済み収益ではない。実績依存かつ最終的な実行結果に左右される」との注記があります。

Hive-32B:GPT-5.4・Claude Opus 4.6をベンチマークで上回ると主張

Prentisは独自の「Hive-32B」モデルが、以下の2つのコンピューター操作ベンチマークでOpenAIのGPT-5.4やAnthropicのClaude Opus 4.6を上回ると主張しています。

  • WindowsAgentArena:実際のWindowsアプリケーション上でのエンドツーエンドのタスク完了率を測定するベンチマーク
  • ScreenSpot-v2:画面上の正しいUIコントロールを特定する能力を測定するベンチマーク

同社は競争優位の源泉として「より小型・低コストなモデルの運用」を挙げており、フロンティアAPIと比較してタスク当たりのコストが約10分の1であると主張しています。なお、TechCrunchはこれらのベンチマーク結果を独自に検証していません。

競合環境:Anthropic、OpenAI、Thinking Machinesも参戦

コンピューター操作型AIエージェント市場はすでに競争が激化しています。Anthropicは今年(2026年)、シアトルのコンピューター操作スタートアップVerceptを買収し、創業チームを取り込んでプロダクトを終了させました。OpenAI、そしてMira Muratiが率いるThinking MachinesもこのカテゴリーへのAIエージェント開発を進めています。

Prentisは「日常的なオフィス業務の自動化がまもなくコーディング支援を超えてAIの最大ユースケースになる」と見込んでいますが、参入企業が多く、市場の成熟には競争優位の持続性が問われます。

CEOのRitankar Dasと持株会社Titan

CEO のRitankar Das(現在31歳)は、カリフォルニア大学バークレー校を18歳で卒業(生物工学・化学生物学のダブルメジャー)した同校100年超ぶりの最年少University Medalistで、オックスフォード大学で生物医工学の修士を取得。ケンブリッジ大学でGates Cambridge ScholarとしてAIのPhDプログラムを途中退学し、2014年に持株会社Titanを創業しています。

Titanはバークシャーハサウェイのようなオールドスクールなホールディングカンパニーモデルを志向しており、外部のリミテッドパートナーではなく自社のエグジットで資金を回す構造です。Titanが立ち上げ・運営する事業には以下が含まれます。

  • Tala Health:AI活用バーチャルケアプロバイダー。2025年に1億ドルのシードラウンドを調達
  • Forta Health:自閉症ケアスタートアップ。2024年にInsight Partners主導で5,500万ドルを調達
  • Dascena:疾患予測企業。2022年にCirrusDxに買収

Reid Hoffman・Marc Pincusの立ち位置

HoffmanはPrentisの共同創業者ですが、本人にとってはサイドプロジェクト的な位置付けです。2026年6月にはMicrosoftの取締役を約10年ぶりに退任し、AI創薬スタートアップManas AIで「ファウンダーモード」に入ると表明しています。HoffmanはOpenAIの初期投資家でもあり、Mustafa SuleymanとInflection AIを共同創業した後、2024年にMicrosoftがそのチームの大半を吸収しました。

Marc PincusはZynga創業者で、現在はHoffmanをシニアアドバイザーに迎えた投資会社Reinvent Capitalを運営。2026年6月には回顧録「Life at the Speed of Play」を出版しています。

チーム構成

Prentisはすでに25名以上を採用しており、OpenAI、Google DeepMind、Meta、Tencent、Alibabaの研究者経験者がチームに加わっています。Prentisはコメント要請に対して回答しませんでした。