記事のサマリー(TL;DR)
- freeeエンジニアがスクラムフェス金沢2026に参加し、「関係性の4つの毒素」を実践的ワークショップで体験
- 非難・侮辱・自己弁護・無視の4パターンをメタ視点で観察する習慣が日常の振る舞いを変えた
- 小規模カンファレンスならではのネットワーキングループが早く回り、コミュニティ初参加のハードルを下げる場として有効
アジャイル・スクラム実践チームが日常業務に持ち帰れる「関係性」のフレームワーク
スクラムフェスは、アジャイル・スクラムの実践者が集い、対話・登壇・ネットワーキングを通じて知見を交換するコミュニティ型カンファレンスです。今回の金沢開催(2026年)では、数百人規模の大型イベントとは異なり、前日の懇親会から翌日の会場で再会できるほどの適度な参加人数が特徴でした。この規模感は、「知り合いが少なくて参加しづらい」と感じがちなコミュニティ初参加者にとって、最初の一歩を踏み出しやすい環境を自然に作り出しています。
国内のSaaS開発現場においても、スクラムの技術的プラクティス以上に「チーム内の関係の質」が課題になるケースは多く、今回紹介された「関係性の4つの毒素」のフレームワークは、既存の1on1やレトロスペクティブに組み込みやすい実用的な視点として注目されます。
詳細
スクラムフェス金沢2026とは
スクラムフェス金沢2026は、石川県金沢市で開催されたアジャイルコミュニティのカンファレンスです。公式サイトの説明によると「アジャイル開発・スクラムの実践者、これから実践しようとしている人たちが集い、対話し、つながる場」と定義されています。
キーノートスピーカーとして、北陸でBuriKaigiなどのコミュニティを運営するふぁらお加藤氏が登壇。地元・北陸からの参加者のほか、関東からの参加者も多かったとのことです。freeeからは3名が参加しました。
特に心に残った2つのセッション
「遠慮のないチームをどう育てるか?」——関係性の4つの毒素
このワークショップでは、チームの関係の質を悪化させる「関係性の4つの毒素」を題材に、参加者が自己内省と他者との対話を通じて、自分が発現させやすいパターンを学びました。
4つの毒素は次のとおりです。
- 非難(Criticism): 行動への不満を越えて、相手の人格や性格そのものを攻撃する
- 侮辱(Contempt): 見下しや皮肉によって相手を貶める
- 自己弁護(Defensiveness): 指摘を受け止めず、言い訳や反撃で自分を守る
- 無視(Stonewalling): 対話から降りて、心を閉ざしてしまう
ワークショップに参加したfreeeエンジニアの miyachi 氏は、このフレームワークを通じてコミュニケーション習慣に具体的な変化が生まれたと報告しています。
「普段のコミュニケーションの中で少しイライラしたり不安になったりしたときに、『今の自分はどの毒素が出ているかな』とメタな視点で自分を見つめることが少しずつできるようになりました」
さらに、他の人同士の会話がギクシャクしている場面でも「今この毒素が出ているかも?」という仮説を持って観察するようになったといいます。毒素は誰にでも発現しうるものであり、どの場面でどの毒素が出やすいかを継続的に観察することが、チームの関係改善につながると感じたとのことです。
なお、この毒素のフレームワークについて詳しくは、CRR Global Japanによるリモートワーク文脈での解説記事が参考になります。
「人見知りな HUB おじさんが会話のハードルを超え、今度は誰かの踏み台になろうとする話」
スピーカーのスティーブ氏が、自身がコミュニティとの関わりをどのように深めてきたか、そして次にコミュニティへ参加する人のきっかけ(「踏み台」)になろうとしているかを語ったセッションです。
特に印象的だったのは、多摩.devというコミュニティでの登壇エピソードです。スティーブ氏は「聞いた人に『あれでいいんだ』と思ってもらえるような発表」をすることを意識したといい、その発表が受け入れられ、コミュニティで覚えてもらうきっかけになったとのことです。
このセッションを受けて、miyachi 氏は多摩.devへの参加を実際に検討し始めたと述べており、「セッションを聞いて終わりではなく、実際に新しいコミュニティへの一歩を後押ししてもらえた」体験として印象に残ったそうです。
スクフェス初参加で感じたこと
miyachi 氏にとってスクフェスへの参加は今回が初めてでした。参加を通じて特に実感したのが、小規模カンファレンスならではのネットワーキング効果の高さです。
参加者数が限られている分、前日の懇親会でお話しした方に翌日の会場で再会したり、その方がそのまま翌日登壇しているセッションを聞きに行く、という流れが自然に生まれたといいます。
こうした体験を通じて、「飲み会への参加 → 知り合いが増える → 翌日のネットワーキングが楽しくなる → また次の場に参加したくなる」という正のループが早く回りやすい場であることを実感したとのことです。数百人・数千人規模の大型カンファレンスでは「誰に声をかけたらいいか分からない」となりがちですが、この規模感ではそのループの立ち上がりが早いと言います。
アジャイル・スクラムのコミュニティに興味はあるものの、知り合いが少なくて踏み出せていない方には、スクフェスのような小規模なコミュニティ型カンファレンスが最初の一歩として適していると、miyachi 氏は強調しています。
おわりに
開催からしばらく経って振り返ると、セッションで得た学びが日常の行動に少しずつ根付いていることを改めて実感できた、というのが今回の参加報告の核心です。miyachi 氏は今後、他のスクフェスへの参加やプロポーザル提出にも取り組んでいきたいと述べています。