記事のサマリー(TL;DR)
- 米消費者の60%が「AI」を前面に出すブランドメッセージを「興ざめ」と評価(WordPress VIP 調査、2025年4月、n=2,000)
- 42%が「帰属表示のないAI生成回答」を航空会社の手数料や不明瞭なプライバシーポリシーより信頼しないと回答
- 一方、企業側の60%はAI検索エンジン経由のトラフィックが過去1年で増加したと報告し、AI視認性と人間的信頼性の同時確保が課題に
国内ブランドサイト・コンテンツマーケティング担当者が直視すべき「AI不信」の実態
今回の調査は米国の消費者を対象としていますが、日本市場でも同様の傾向は無視できません。国内でもChatGPTやPerplexity、Google AI Overviewsの普及により「AI検索経由の流入」が現実のものになりつつある一方、コンテンツの出所や著者への信頼を重視する日本の消費者心理とは緊張関係が生じています。
特に注目すべき点は3つです。第一に、「帰属表示(attribution)」の重要性です。調査では消費者の33%が「元の情報源にクリックして確認すること」を最大の信頼シグナルと挙げており、著者明示・一次情報へのリンクが今後のSEO/AIO(AI最適化)施策の基本となります。第二に、「人間が書いた」と感じさせるコンテンツへの需要です。74%の企業意思決定者がAI上での視認性と帰属表示を主要優先事項と位置づけながら、消費者側は人間らしい文体・透明性を求めており、構造化データや著者情報の整備が差別化につながります。第三に、オープンウェブへの支持です。回答者の80%が「ウェブ上の情報は少数の大企業に管理されるべきでない」と回答しており、自社ドメインへのコンテンツ集約と一次情報発信の価値が改めて高まっています。GA4・広告・CRMを統合した経営データ基盤でAI流入の貢献度を可視化し、施策の効果測定につなげる設計が現実的です。
詳細
AIに引用されることは、消費者の信頼を得ることより簡単
Automattic 傘下のエンタープライズWordPressプラットフォーム「WordPress VIP」が発表した新レポートによると、ブランドがAI検索結果にリンクを表示させることに躍起になる一方、消費者はAIの回答を実際に信頼できるかどうかについて懐疑的になっています。
主な調査結果は以下の通りです。
- 米国消費者の60% がメッセージに「AI」を使うブランドに拒否感を示す
- 86% がAIを完全には信頼せず、元の情報源を自分で確認したいと考えている
- 42% が「帰属表示のないAI生成回答」を、航空会社の不透明な手数料・難解なプライバシーポリシー・医療費の請求書よりも信頼しないと回答
- 回答者の 4人中3人近く(74%近く) がインターネットが10年前より「人間らしさが薄れた」と感じている
ブランドはGoogle検索以降の世界に適応中
調査結果が示すのは、企業がGoogle検索や従来型SEOを超えた世界への適応を試みながら、同時に「人間が書いたコンテンツ」と見なされる必要性とのバランスを取らなければならないという状況です。AIを使って認知を広げながら、信頼を失えば本末転倒になります。
WordPress VIP の CTO Brian Alvey は声明の中でこう述べています。「かつて人々は他の人間のためにウェブサイトを作っていた。今は、その人々の代わりに動くAIエージェントのためにサイトを作らなければならない。サイトのコンテンツがAIに読み取れなければ、検索の大きな割合において存在しないも同然だ。そしてAIアンサーエンジンをクリックして先に進むごくわずかなユーザーに対して、人間らしく信頼できるコンテンツを提供できなければ、彼らは二度と戻ってこない。」
企業側はAI流入の増加を実感
消費者の懸念とは対照的に、企業側ではAI経由のトラフィック増加を肌で感じています。
- エンタープライズ回答者の 60% が、AI検索エンジン・アンサープラットフォーム経由のトラフィックが過去1年で増加したと回答
- 74% の企業意思決定者がAI上での視認性と帰属表示を「主要または重大な優先事項」と位置づけている
消費者が求める透明性とオープンウェブ
- 消費者の 33% が「元の情報源にクリックして確認すること」を最大の信頼シグナルと回答
- 80% がウェブ上の情報は「少数の大企業に管理されるべきでなく、オープンにアクセスできるべき」と回答
この最後の調査結果は、Automattic がオープンソースWordPressプロジェクトや ActivityPub などのオープンウェブプロトコルへの投資を通じて推進する「オープンウェブ」の理念とも合致しています。
調査概要
本レポートは2025年4月に実施されたアンケートに基づき、800名のエンタープライズ意思決定者・CMOと1,200名の米国成人、計2,000名が回答しました。WordPress VIP は今回の知見が、ブランドがAI上での可視性と人間的信頼性を同時に確保しなければならない未来を示していると述べています。