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2026.08.26

Stability AI が7,600万ドルのシリーズB調達——Universal・Sony・Warner・EAが出資

記事のサマリー(TL;DR)

  • Stability AI がシリーズBで7,600万ドルを調達、累計調達額は2億3,200万ドルに
  • Universal Music Group・Sony Music・Warner Music・EA・AMD Ventures が出資に参加
  • 調達資金は「クリエイティブ・プロダクション」製品スイートの拡充とプロフェッショナルサービス部門の拡大に充当

国内エンタメ・コンテンツ制作企業が注目すべき生成AI調達の意味

今回のラウンドが通常のベンチャー投資と異なる点は、出資者がエンタメ大手そのものである点です。Universal Music Group・Sony Music Group・Warner Music Group・Electronic Arts(EA)は、単なる財務投資家ではなく、Stability AI の AI ツールを「共同開発」する立場で関与しています。昨年10月に Universal Music および EA、11月に Warner Music と締結したパートナーシップはいずれも、各社が生成AIツールの出力をライセンスするだけでなく、開発プロセス自体に参加する構造です。

日本市場においても、Sony Music はグローバルグループとして今回の出資に名を連ねており、国内レーベルや映像制作会社の生成AI活用に間接的に影響を与える可能性があります。また映像・音楽・ゲーム制作のワークフローに生成AIを組み込む流れは、国内コンテンツ産業でも急速に現実の選択肢となってきており、欧米大手がプラットフォーム側との共同開発体制を固めることで、ツール選定・ライセンス条件の交渉力が変わってくる局面です。

著作権面では、英国の Getty Images 訴訟で Stability 側がおおむね勝訴した判決が出ており、学習データと IP 侵害の関係についての一つの先例となっています。ただし米国での同種の訴訟は継続中のため、今後の判例動向は国内でのAI学習データ利用ポリシー策定においても参考になります。

詳細

シリーズBの概要と出資者の顔ぶれ

Stable Diffusion の開発元として知られる Stability AI は、2025年8月26日(現地時間)にシリーズBラウンドで7,600万ドルの調達を発表しました。今回の調達により、同社の累計調達額は2億3,200万ドルに達します。

出資に参加した主な企業・ファンドは以下の通りです。

  • Universal Music Group(ユニバーサル ミュージック グループ)
  • Sony Music Group(ソニー ミュージック グループ)
  • Warner Music Group(ワーナー ミュージック グループ)
  • Electronic Arts(EA)
  • AMD Ventures
  • Pacific Alliance Ventures

同社 CEO の Prem Akkaraju 氏(2024年就任)は、今回の資金調達を「生成AIがすべてのプロデューサー、ミュージシャン、ストーリーテラーを支援するという私たちのビジョンへの肯定」と表現しました。

資金の用途:クリエイティブ生産スイートの強化

Stability AI は調達資金を主に2つの領域に投じる方針です。

  1. 「クリエイティブ・プロダクション(Creative Production)」製品スイートの継続的な拡充:音楽・映像・画像生成を対象とした複数のAIモデルを現在提供しており、これらの機能を強化します。
  2. プロフェッショナルサービス部門の拡大:エンタメ企業の制作ワークフローへの組み込みを支援する受託・導入支援体制を整備します。

エンタメ大手との共同開発パートナーシップ

Stability AI は過去1年間、エンタメ企業の制作ワークフローに生成AIを組み込むための提携を積極的に進めてきました。

  • 2024年10月:Universal Music および Electronic Arts(EA)とパートナーシップを締結
  • 2024年11月:Warner Music Group とパートナーシップを締結

各パートナーシップの特徴は、各社がAIツールの出力をライセンスするだけでなく、Stability のAIツールの共同開発に参加する権限を持つ点です。今回のシリーズBにこれらの企業が出資者として名を連ねていることは、資本・開発・ライセンスを一体化した深い関係を示しています。

法的動向:Getty Images 訴訟での部分的勝訴

著作権をめぐる訴訟でも、Stability AI は一定の成果を得ています。

英国訴訟:Getty Images が同社の画像を学習データとして利用したことを IP 侵害として提訴した訴訟で、英国の裁判所は Stability AI の主張をおおむね認める判決を下しました。

米国訴訟:同様の内容で Getty Images が米国でも提訴しており、こちらは現在も係争中です。

また、2023年には共同創業者の Cyrus Hodes 氏が、もう一人の共同創業者である Emad Mostaque 氏から欺かれる形で持ち分を売却させられたと主張する訴訟を起こしています。

会社概要

Stability AI は2019年に設立されました。CEO の Prem Akkaraju 氏が就任した2024年以降、エンタメ業界との提携強化と製品ラインアップの体系化を軸に事業を再構築しています。現在提供中の主なAIモデルは音楽生成・映像生成・画像生成の3領域をカバーしており、プロフェッショナル用途向けのスイートとして整備が進んでいます。