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2026.06.24

AI人員削減リスト2026年版:Monday.comほか20社超が「AI理由」の大規模レイオフを実施

記事のサマリー(TL;DR)

  • Monday.comが従業員の約20%(600人超)を削減、AI主導組織への転換を理由に挙げ、純リストラ費用は最大5,500万ドルを見込む
  • 2026年初来、米テック企業全体で約14万人が削減済み。Amazon・Oracle・Meta・Microsoftの4社だけで約5万人を占める(FT調べ)
  • AI理由で削減を発表した企業はナスダック比で約10%アンダーパフォームとFTが分析。市場はAI転換ストーリーを額面通りには受け取っていない

国内SaaS・IT企業の採用・組織設計に響く「AI再編」の現実

FTの分析が示すとおり、AIを理由とした人員削減は株式市場では好意的に受け取られていない一方で、OpenAIやAnthropicなどAI専業企業は採用を積極化しており、業界内でのタレント再配分が進んでいます。日本でも、kintoneやSalesforceを中心に業務自動化をAIエージェントで担わせる事例が増加しており、Salesforceが「Agentforce導入後にサポートエンジニアのバックフィルが不要になった」と公言した事実は、国内のカスタマーサポート部門の人員計画に直接影響する可能性があります。また、IBMが人事部門の約200ポジションをAIエージェントで代替した事例は、日本のバックオフィス自動化の優先順位を見直す際の参照ケースになります。Coinbaseが「エンジニアが数週間かかっていた作業をAIを使えば数日でリリースできる」と述べた変化は、国内の受託開発・SIer業界が単価・工数設計を再考するうえで無視できない前提です。

詳細

Monday.com(2026年7月)

テルアビブ拠点のプロジェクト管理SaaS企業 Monday.com は、SEC届出書において従業員の約20%、600人超を削減すると発表しました。「製品・マーケティング・GTM(Go-to-Market)戦略の継続的な転換」を支える「より効率的でフォーカスされた運営モデル」への移行が目的だとしています。共同創業者のEran Zinman(エラン・ジンマン)氏はLinkedInへの投稿で「コスト削減でも人をAIに置き換えるものでもない」と説明し、約1年前に宣言したAIファースト戦略への組織適応だと位置づけました。

純リストラ費用は4,500万〜5,500万ドルを見込む一方、2026年の売上高は前年比最大20%成長を引き続き予測しています。

2026年の主要テック企業レイオフ一覧(逆時系列順)

Microsoft(2026年7月9日)

Microsoft は全社員の約2.1%にあたる約4,800ポジションを削減しました。大半はXboxゲーミング部門で、Activision Blizzardを750億ドルで買収してからわずか3年後の方針転換です(FT報道)。同社は「削減ポジションをAIで代替するわけではない」としつつ、「AIが仕事のやり方を変えている」と認めました。CFOのAmy Hood(エイミー・フッド)氏は、会計年度Q3において総社員数が前年比で減少し、今後も引き続き減少する見通しだと述べました。

Oracle(2026年6月22日開示)

Oracleは直近12カ月で従業員を21,000人削減(前年比13%減)したと年次財務報告書で開示しました。「AI技術の社内への導入・展開が人員削減をもたらしており、今後も継続する可能性がある」と明記しています。削減が行われた同期間に、Oracleの残存履行義務(RPO)は325%増加し5,530億ドルに達しており、節約分はAIデータセンター投資に充当されています。

GitLab(2026年6月3日)

GitLab は全社員の約14%にあたる約350人を削減しました。AIインフラへの投資資金確保とAIワークフローからの急増するトラフィックへの対応が目的です。CEO Bill Staples(ビル・ステープルズ)氏は、エージェント型ワークロードが「競合他社を限界まで追い詰めている」と述べ、「100倍の成長要件」を支えるためのプラットフォームの「世代的再構築」に着手したと説明。22カ国から撤退し、管理層をフラット化、未公表のAIラボとパートナーシップを締結しました。同社の直近四半期売上高は2億6,400万ドルで前年比23%増でした。

Google/Alphabet(2026年5月まで継続中)

Googleは正式な総数を一度も発表せず、パフォーマンスレビュー・希望退職プログラム・組織再編という複数の経路を通じて静かに削減を続けています。クラウド部門のThreat Intelligence GroupやMandiant関連のサイバーセキュリティ部門も対象となりました。Cloud売上は63%増で初めて200億ドルを超え、受注残は460億ドル超へほぼ倍増しているにもかかわらずです。過去1年でマネージャー層を35%削減しており、2026年の削減総数は外部推計で1,500〜3,000人超のエンジニアとされています。

Intuit(2026年5月20日)

Intuit は全社員の約17%にあたる約3,000人の削減計画を発表しました。CEO Sasan Goodarzi(サーサン・グダルジ)氏は、複雑性の削減とAIへのリソース再配分が目的だと説明しています。

Meta(2026年5月20〜21日)

Meta は全社員の約10%にあたる8,000人を削減する一方、約7,000人を新設のAI特化ポジションに異動させました(異動した従業員は新役割を嫌っているとも報じられています)。CEO Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は「AIで成功は保証されない」と述べ、削減の必要性を説明しました。

Cisco(2026年5月14日)

Ciscoは予想を上回る利益・売上高を報告しながらも、全社員の約5%にあたる4,000人近くの削減を発表しました。CFO Mark Patterson(マーク・パターソン)氏は「コスト削減が目的の再編ではなく、シリコン・光学・セキュリティ・AIへのリソース再配置だ」と述べています。

Cloudflare(2026年5月7〜8日)

Cloudflareは全社員の約20%にあたる1,100人を削減しました。削減を発表した四半期の売上は6億3,980万ドルで前年比34%増、同社史上最高の四半期売上でした。CEO Matthew Prince(マシュー・プリンス)氏は、削減対象の大半は「測定者たち(measurers)」——中間管理職・財務・法務・内部監査・収益認識担当——だったと説明しました。

General Motors(2026年5月12日)

GMはテキサス州オースティンとミシガン州ウォーレンのIT部門を中心に500〜600人を削減しました。AI活用の役割も担っていたとCNBCが報じています。削減後も、AI・モータースポーツ・自動運転車関連を含む約80のITポジションが空席のままでした。

Coinbase(2026年5月5日)

Coinbaseは全社員の約14%にあたる約700人を削減しました。組織構造をCEO・COOの直下5階層にフラット化し、エンジニアリング・デザイン・プロダクトを統合した「1人チーム」実験も実施。CEO Brian Armstrong(ブライアン・アームストロング)氏は「エンジニアはAIを使い、かつてチームで数週間かかっていた作業を数日でリリースできるようになった」と述べ、業務のあらゆる面でAIを活用する必要があると説明しました。

PayPal(2026年5月5日)

PayPalは今後2〜3年をかけて全社員の約20%、4,500人超を削減する計画を発表しました。CEO Enrique Lores(エンリケ・ロレス)氏はAIを開発プロセスに「積極的に導入」するとし、プロセスを「機能ごとに」再設計するAI変革・簡素化チームを自身直属で新設しました。AIの活用範囲はコーディングにとどまらず、カスタマーサービス・サポート運営・リスク管理にまで及ぶとしています。

Snap(2026年4月16日)

Snapは全社員の約16%にあたる約1,000人を削減し、300超の空きポジションも閉鎖しました。CEO Evan Spiegel(エヴァン・スピーゲル)氏はSEC提出書類の中で「AIの急速な進化により、チームが反復作業を減らし、開発速度を上げ、コミュニティ・広告主・パートナーをより良くサポートできる」と説明しました。

IBM(2026年通年、段階的)

2025年Q4の削減と2026年4月のRed Hatエンジニアリング削減を合計すると、推計で米国内3,000〜9,000ポジションが削減され、2024年9月以降の累計削減数は15,000人超となっています。一方でBloombergは、IBMが米国のエントリーレベルのAI・ハイブリッドクラウド採用を3倍に増やす計画だと報じており、約200の人事ポジションをAIエージェントで代替した事例も明らかになっています。

Atlassian(2026年3月11日)

Atlassianは全社員の約10%にあたる1,600人を削減し、AIとエンタープライズ営業へのリソース再配分を行いました。削減発表にもかかわらず株価は約2%上昇。CEO Mike Cannon-Brookes(マイク・キャノン=ブルックス)氏は「AIが人を置き換えるというアプローチではない。しかし、AIが特定の領域で求められるスキルの種類や必要な役割数を変えることは事実だ」と述べました。

Dell(2026年1月30日発表、3月開示)

Dellは会計年度2026年に全社員の約10%にあたる約11,000人を削減し、従業員数は108,000人から約97,000人へ減少。退職金として5億6,900万ドルを支出しました。同社はAI最適化サーバーの売上が会計年度2027年に倍増すると予測しています。

Block(2026年2月26〜27日)

Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏率いるBlockは、全社員のほぼ半数にあたる4,000人を削減し、社員数を10,000人超から6,000人未満まで縮小しました。Dorsey氏はX(旧Twitter)に「われわれが構築・活用しているインテリジェンスツールと、小規模・フラットなチームの組み合わせが、会社を作り・運営することの意味を根本的に変える新しい働き方を実現しつつある」と投稿。「ほとんどの企業は遅れている。今後1年以内に大多数の企業が同じ結論に達し、同様の組織変革を行うだろう」とも述べました。

Salesforce(2026年2月10日)

Salesforceはマーケティング・プロダクトマネジメント・データ分析・Agentforce AIユニットにわたって1,000人未満を削減しました。同社はFortuneに対し「Agentforceの恩恵と効率化により、サポートケース数が減少し、サポートエンジニアを積極的にバックフィルする必要がなくなった」と説明。これに先立つ削減では、カスタマーサポートチームを約9,000人から5,000人へ縮小しており、CEO Marc Benioff(マーク・ベニオフ)氏は「AIエージェントが業務を担うため、人手が減って問題ない」と述べています。

Amazon(2026年1月28日)

Amazonは2025年10月の14,000人削減に続き、法人部門の社員16,000人を追加削減しました。3カ月で法人社員の約9%を削減した計算です。CEO Andy Jassy(アンディ・ジャシー)氏は2025年6月の時点で「生成AIとエージェントを展開するにつれて、今日行われている一部の業務に必要な人員は減少するだろう。今後数年でAIを幅広く活用することで、総合的な法人社員数は減少すると見込んでいる」と述べており、今回の削減はその方針の具体化です。


全体像:採用が増えている側の動きも

FTの分析によると、AnthropicやOpenAIのようなAI専業企業は積極採用を継続しており、テック業界全体で放出された人材の一部を吸収しています。Metaが8,000人を削減しながら7,000人をAI専任ポジションに異動させた事例や、IBMがエントリーレベルのAI採用を3倍にする計画を示す事例のように、単純な人員削減ではなくスキルセットの転換が進んでいる側面もあります。

ただし、市場はAI転換を理由とした削減発表を好意的に評価していません。FTの分析では、AIを削減理由として挙げた企業は発表後30営業日でナスダック平均を約10%下回っており、投資家はAI効率化ストーリーを額面通りには受け取っていないことが示されています。