記事のサマリー(TL;DR)
- SmartHR が SRE NEXT 2026(2026年7月10〜11日、TOC有明)にランチスポンサーとして協賛し、SRE の中間氏が登壇
- 発表テーマは Terraform 共通モジュールの「バージョニング」によるリリースと適用の分離で、チーム横断運用の改善事例を共有
- 生成 AI を活用したオブザーバビリティ成熟度の自動評価(DMM.com)など、注目セッションも複数紹介
SmartHR・SaaS プロダクト開発チームが参考にすべき SRE の実践知
SRE NEXT 2026 のテーマは「Inclusive SRE」。経験豊富な SRE だけでなく、EM・PM・SRE 未経験チームまでを対象に設定された点は、日本国内で SmartHR や kintone・Salesforce などの SaaS を基幹業務に組み込む企業にとっても示唆が大きいです。複数プロダクトを横断して信頼性を支える体制を整える際、今回紹介されたインシデント対応の「顧客目線への立ち返り」(ログラス事例)や、オブザーバビリティ成熟度を AI で自動評価する手法(DMM.com 事例)は、社内 SRE プラクティスを底上げするうえでそのまま転用できる考え方です。また、Terraform を複数チームで共同管理する構成は、AWS・GCP 上でマルチプロダクトのインフラを運用する組織において共通の課題であり、SmartHR が公開したバージョニング戦略は参考になります。
詳細
SRE NEXT 2026 の概要
SRE NEXT は、信頼性に関するプラクティスに関心を持つエンジニアのためのカンファレンスです。2026年は 7月10日(金)・11日(土) に TOC有明 で開催されました。
2026年のテーマは 「Inclusive SRE」。経験豊富な SRE(Site Reliability Engineer)だけでなく、エンジニアリングマネージャー・プロジェクトマネージャー・これから SRE に取り組み始めるチームなど、幅広い層を対象としたカンファレンスです。
SmartHR のセッション ―― Terraform 共通モジュールのバージョニング
SmartHR はランチスポンサーセッションとして、SRE の中間氏(@kekke_n)が以下のタイトルで発表しました。
「Terraform 共通モジュールをチーム横断で”変えられる”運用へ ―― リリースと適用の分離」
発表の核心は、複数チームが共同利用する Terraform 共通モジュールが「変更しづらい」という課題を、バージョニングによって解消する取り組みです。モジュールのリリースと各チームへの適用タイミングを分離することで、横断的な変更管理を無理なく回せる運用を実現しています。
Ask The Speaker では同じ課題を抱えるエンジニアと直接対話でき、懇親会では各社の Terraform 運用状況についても情報交換が行われました。
印象に残ったセッション
インフラ寄り SRE でも開発に踏み出せる ――越境してユーザー体験に向き合う(Sansan 株式会社・上司陽平氏)
Track B / 7月10日 16:10〜16:40
インフラ専任の SRE がアプリ機能開発へ越境した事例です。マネージャーの理解を得たうえで開発領域をキャッチアップし、クエリ最適化やエラー対応の高速化など信頼性向上に直接貢献しました。「SRE の知見を持ちながら開発現場から信頼性に貢献する」というロールモデルを示した発表です。
「ちゃんとやっている」は独りよがりだった ―― 不安に寄り添うインシデント対応へ(株式会社ログラス・mekka 氏)
Track C / 7月10日 17:40〜18:10
うまく回っていると思っていたインシデント対応プロセスに実は課題があり、顧客目線を取り戻すために関係者と対話を重ね、体制を再構築した事例です。プロダクトチームを横断して SRE プラクティスを支援する立場から、「独りよがりになっていないか」を問い直す契機になる発表として中間氏も強調しています。
オブザーバビリティ、本当に活用できてる?―― API 連携×生成 AI で成熟度を自動評価(合同会社 DMM.com・にわさと氏)
Track B / 7月11日 16:20〜16:50
オブザーバビリティ成熟度モデルを OSS として公開している DMM.com が、自己評価と実態の乖離という課題に対して 生成 AI を活用した客観的・自動的な評価を実現した取り組みを発表しました。スモールスタートの導入手順も紹介されており、成熟度モデルを「現在地を把握する指標」として活用できる点が特に参考になります。
まとめ
SmartHR の中間氏にとって今回が初登壇。運営の丁寧な準備と多くの交流機会により、充実した場になったと報告されています。SmartHR では引き続き SRE を採用中で、バックオフィスプラットフォームとしての信頼性投資を強化していく方針です。