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2026.07.23

OpenAI Presence 発表——エンタープライズ向け本番 AI エージェント展開製品の詳細

記事のサマリー(TL;DR)

  • OpenAI が本番運用向け AI エージェント製品「OpenAI Presence」を限定 GA(一般提供)で発表
  • 自社電話サポート(1-888-GPT-0090)で 75% の問い合わせを無人解決、10日で人へのエスカレーションを 15 ポイント削減
  • BBVA・SoftBank・IAG が採用済み。SoftBank は日本語での自然な会話対応をテスト中

SoftBank 採用が示す日本語 AI エージェント市場への波及

SoftBank が「自然な日本語による顧客会話」のテストに Presence を採用している点は、日本市場において特筆に値します。日本語は文脈依存度が高く、敬語・丁寧語の使い分けがカスタマーサポートの品質に直結するため、英語中心の AI エージェントが苦手とする領域でした。SoftBank という大規模な通信事業者が日本語対応のテストベッドになることで、日本語特有のポリシー設定・エスカレーションルールのノウハウが蓄積されやすい環境が整います。

国内の EC 事業者やコールセンターを抱える企業では、すでに GPT ベースの問い合わせ自動応答を導入しているケースが増えていますが、Presence が打ち出す「ポリシー設定・ガードレール・Codex による継続改善ループ」の枠組みは、単発の LLM 呼び出しとは設計思想が異なります。既存の kintone・Salesforce・社内 ERPと接続した業務フローへの適用を検討する際、エージェントが「何をしてよいか・いつ人に渡すか」を明示的にポリシーで管理する Presence の設計は、内部統制や監査ログの観点からも国内企業に刺さりやすい要件を満たしています。

現時点では Presence はセルフサービス提供なし・OpenAI Forward Deployed Engineers(FDE)主導の展開のみのため、導入ハードルは高い一方、SoftBank のような大規模導入実績が日本語品質の底上げにつながれば、中規模企業向けの展開も現実的になってくるでしょう。

詳細

背景:「動くこと」から「本番で信頼できること」へ

企業が直面する課題は、AI エージェントが機能することを証明する段階を過ぎ、高価値業務を本番環境で安定して担えるかという段階に移っています。製品・ポリシー・ユーザー行動の変化に合わせてエージェントの挙動を継続的に改善するには、モデル単体ではなく、評価基盤・デプロイ知見・管理統制の仕組みが必要です。

OpenAI Presence とは

OpenAI Presence は、エンタープライズが信頼できる AI エージェントを展開するための製品です。質問への回答、問題解決、社内システムの操作、承認済みアクションの実行、そして必要時の人へのエスカレーションを担います。モデルの推論能力に加え、以下を組み合わせます。

  • ポリシーと標準作業手順(SOP)
  • ガードレール(想定外の挙動を抑止)
  • 承認済みアクション
  • シミュレーションと評価ツール
  • Codex による継続改善ループ(Codex-powered improvement process)

各デプロイは特定のジョブ(例:請求問題の解決、保険請求サポート、社内 IT サービスリクエスト対応)から始まります。エージェントはそのジョブに必要な知識とシステムアクセスのみを受け取り、企業がポリシーを設定します。ローンチ後は本番セッションとエスカレーションログがギャップを可視化し、Codex がアップデート案を提案、チームがテスト・承認して段階的にロールアウトします。

現在の対応範囲

本日時点では 音声・チャット のリアルタイム体験に対応します。主なユースケースは以下の通りです。

  • 顧客サポート(問い合わせ理解 → 本人確認 → アカウント情報参照 → ポリシー適用 → 承認アクション実行)
  • アウトバウンド営業
  • 高リスクな社内業務フロー

デプロイごとに「一貫させる要素(ポリシー・評価・エスカレーションルール)」と「ワークフロー・チャネルごとに変える要素」を企業側が決定できるため、既存の成功パターンを再利用しながら新しいユースケースへ展開できます。

本番実績

OpenAI は自社の英語電話サポートチャンネル(1-888-GPT‑0090)に Presence を採用しています。

  • 数週間で、最前線の人間サポート品質指標を達成または上回った
  • 現在、インバウンド問い合わせの 75% を人の介入なしで解決
  • Codex による改善ループにより、10日間で人へのエスカレーションを 15 ポイント削減

主要導入企業は以下の通りです。

企業 取り組み内容
BBVA メキシコにおける日常的なバンキングニーズ向け AI 音声サポートを検討中
SoftBank 日本語での自然な顧客会話をテスト中
IAG(保険) 悪天候などの高需要イベント時のタイムリーなサポートを検討中

信頼設計:ローンチ前・中・後

ローンチ前:一般的なリクエスト・エッジケース・高リスクシナリオに対してシミュレーションとグレーダーで検証。「正しいアウトカムに到達したか」「ポリシーに従ったか」「ツールを正しく使ったか」「適切にエスカレーションしたか」を確認します。

ローンチ後:本番セッション・エスカレーション・品質シグナルが継続的にフィードバックされます。Codex(Presence プラグイン経由)がシグナルを調査してアップデートを提案。チームは既存バージョンと比較テストし、承認した変更を管理しながらロールアウトします。

Presence は OpenAI の研究チームと密接に共同開発されており、各デプロイから得られた汎用インサイトが継続的な研究・製品開発に反映される設計になっています。

提供形態

OpenAI Presence は現在、限定 GA(限定的な一般提供) として対象エンタープライズ顧客に提供されます。

  • 展開は OpenAI の Forward Deployed Engineers(FDE)と認定グローバルシステムインテグレーターが主導
  • 現時点ではセルフサービス提供なし
  • 既存の API を通じた音声モデルアクセスは引き続き提供
  • 導入検討は OpenAI アカウントチームへの問い合わせが必要