記事のサマリー(TL;DR)
- Micron の株価が過去1か月で236%超上昇、終値は1株1,132ドルで時価総額は約1.27兆ドルに到達
- 第3四半期売上高は前年比4倍の414.5億ドル、純利益は28.2億ドル→282億ドルへ急拡大
- Nvidia・Anthropic を含む16件の長期供給契約(SCA)締結で、AI需要の恩恵を安定的に取り込む体制を整備
日本の半導体・AI インフラ事業者が注目すべき「RAMageddon」の波及
「RAMageddon」と呼ばれるメモリ供給不足は2027年まで続くと予測されており、その余波は日本市場にも及んでいます。AI サーバー向け HBM の取り合いが激化する中、PC・スマートフォン向けの一般 DRAM や NAND フラッシュも品薄・価格高騰の影響を受けており、Apple 製品や Xbox コンソールの小売価格がすでに上昇しています。
国内でも、AI 推論基盤を AWS・Google Cloud・Azure 上で構築・拡張する企業にとってはクラウド利用コストの上昇圧力が高まる可能性があります。また、オンプレミスの GPU サーバーを調達しようとしている企業では、HBM 搭載サーバーの入手難が設備投資計画のボトルネックになりうる点は頭に入れておく必要があります。kintone や Salesforce などの SaaS データを BigQuery 等のデータ基盤へ集約し、分析処理を最適化することで、オンプレ GPU への依存度を下げる構成も現実的な選択肢になってきています。
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Micron とは——消費者向けメモリカードから AI インフラの要へ
Micron Technology は米アイダホ州ボイシに本社を置くメモリチップメーカーです。かつては PC やスマートフォンのストレージ拡張に使う小型メモリカードのブランドとして知られていましたが、今やウォール街の注目は AI データセンター向けメモリ事業に集中しています。
Micron が製造する DRAM・NAND、とりわけ HBM(High-Bandwidth Memory) は、AI サーバー1台あたりのメモリ搭載量がラップトップの数倍から数十倍に上ることから、急速に需要が拡大しています。Nvidia はじめ、Microsoft・Amazon AWS・Google・Meta・Oracle といったハイパースケーラーが大量購入しており、それが他の企業によるメモリの「囲い込み」を誘発。Dell・HP などの PC メーカーも含め、業界全体で調達競争が激化しています。
第3四半期決算——売上高4倍・利益15倍の衝撃
先週発表された Micron の第3四半期(2025年度)決算は市場予想を大きく上回りました。
- 売上高: 前年同期比4倍の 414.5億ドル
- 純利益: 18.8億ドル → 282億ドル(約15倍)
- 第4四半期見通し: 売上高 490億〜510億ドル を予想
時価総額が一時 Meta・Tesla を超過
好業績を受け、Micron の株価は過去1か月で 236%超上昇し、2025年6月26日(木)に一時 Meta・Tesla の時価総額を上回りました。2025年中頃までは長年にわたり1株100ドル以下で推移していたことを考えると、その急騰ぶりは際立っています。
- 金曜日終値:1株 1,132ドル、時価総額 約 1.27兆ドル
- Meta:約 1.39兆ドル
- Tesla:約 1.42兆ドル
「RAMageddon」——2027年まで続く供給不足
業界内では現在の状況を「RAMageddon(ラマゲドン)」と呼んでいます。メモリ製造の増産には、クリーンルーム建設など多額の設備投資と長い時間が必要です。William Blair のテックアナリスト、Sebastien Naji 氏は調査レポートの中で次のように述べています。
「需要の伸びが新たなクリーンルームの稼働速度を上回り続けており、今後数四半期にわたって平均販売価格(ASP)の上昇が続く公算が大きい。主要顧客との長期契約(SCA)が急速に拡大し収益の視認性も高まっていることから、より持続的な利益成長の可能性があるとみて、アウトパフォーム評価を維持する」
長期供給契約16件で「AI バスト」への備えを強調
メモリ業界の歴史的な課題は、増産タイミングと需要落込みのサイクルが重なることによる供給過剰・価格急落です。Micron はこれに対し、決算説明会でデータセンター・コンシューマー・自動車の3セグメントにわたる 16件の戦略的顧客契約(SCA) の締結を発表。Nvidia および AI 研究機関の Anthropic との長期契約もその中に含まれており、需要急減への耐性をアピールしました。
この戦略は複数のアナリストを説得し、「Micron は Nvidia に続く長期投資先になりうる」との見方が広がっています。ただし、バストサイクルなしに長期的な成長を持続できるかは、今後の需要動向次第という点に変わりはありません。